お知らせ+活動記録+たわごと

HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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えり抜きエントリー選集
  • 2011.03.03: 世界の材料科学者トップ100にランクイン
  • その他 | 22:00 | comments(0) | - | - |
    粉末構造解析講習会が九州に上陸!
    2015年秋以来、龍谷大学岡山大学神戸大学京都大学で開催し、好評を博してきた粉末構造解析に関する実習中心の講習会を2018年1月15日 (月)・16日 (火) に九州大学 伊都キャンパスで催します。


    Windows 機に事前インストールすべきソフト、アクセス、キャンパスの地図などについては ナノ材料組織解析学・金子研究室の Web ページに掲示されている会告をご覧ください。

    京大では体験学習だけの一日コースを初めて試みましたが、今回は講義(半日)+実習(一日)に戻します。いずれか一日だけの参加も認めます。九州での講習会は初めてなので、定員(120名、先着順)は多めに設定しました。といっても180名収容の大教室が会場ですから、詰め込み感のない環境で受講していただけるでしょう。もちろん学外者にも解放します。万障お繰合せの上ご参加頂ければ幸甚に存じます。

    講義には百数十枚のスライドを使いますが、カラー印刷の経費と手間をカットするため、参加者には二つの講義用 PDF ファイル
    1. 粉末回折データの解析技術 — リートベルト法
    2. 粉末回折データの解析技術 — パターン分解、未知構造解析、MEM
    を当日までに差し上げます。さらに二種類の副読本も付録として添付します。

    ハンズオンには秀丸エディタ (+統合支援環境), RIETAN-FP v2.86, gnuplot, WinPLOTR, DICVOL, ORFFE, lst2cif, cif2ins, combins, sda, ALBA, superflip, EDMA, FOX, MPF_multi.command+Dysnomia, VESTA などのプログラムを使います。上記のソフトウェア群はピークサーチ、指数づけ、バックグラウンドの決定、リートベルト解析、多相リートベルト解析用入力ファイルの自動作成、Le Bail 解析、最大エントロピー・パターソン解析、未知構造モデルの構築(双対空間法とレプリカ交換法)、MPF解析、結晶構造と電子密度分布の三次元可視化といった広大な領域を網羅しています。リートベルト解析は one of them に過ぎません。

    中でも cif2ins と 未公開ユーティリティー combins の連携プレーは注目に値します。cif2ins は CIF (Crystallographic Information File) 中の結晶データをひな形ファイル template.ins に導入することにより RIETAN-FP 用入力ファイル *.ins に変換します。一方、 combins は複数の *.ins から多相解析用入力ファイル multi_phase.ins を自動生成します。multi_phase.ins を改名し、必要に応じて中身を編集してからリートベルト解析に移行します。ストリームエディター sed を活用したsda による逐次リートベルト解析の自動化も便利です。今回の実習では、BaSO4の粉末X線回折データのリートベルト解析における選択配向ベクトルの決定に応用します。

    最後に訴求効果の高いデモンストレーションとして
    1. cif2pdf と E2J による CIF の LaTeX 文書化
    2. RIETAN-fP, PyAbstantia, VESTA の連係プレーによるリチウムイオン二次電池用正極材料(三元系: NMC)における Li+ イオンの拡散経路の可視化
    を実演します。両者を実習から外すのは TeX LiveMiniconda(python 3.6を使うのに最小限必要な環境)がかなり大きなディスクスペースを占有するためです。ただし後述のチュートリアルを参照すれば、TeX Live と Miniconda は容易にインストールできます。

    参加者には Windows・macOS 用インストーラーも事前配付します。実習・実演の円滑な進行を図るとともに、その内容に遺漏がないように Windows・macOS 上での操作手順を逐一記述したチュートリアル(計121ページ)をインストーラーに同梱します。チュートリアル中には近年書きためてきたブログ・エントリーEvernote の公開ノートへのリンクを多数張ってあるため、豊富な付加的情報が手に入ります。後日、実習・実演内容を再現する際、強力な援軍となるでしょう。

    なお、来春にファインセラミックスセンター(名古屋)で、来夏に東京工業大学(大岡山キャンパス)で同様な無料講習会を催すという計画に変わりはありません。講義の依頼は随時受け付けておりますので、遠慮なく声を掛けてください。
    NIMS 発の論文で被引用数トップの地位を獲得!
    昨年、2000〜2010年の間に世界トップクラスの被引用数を獲得した100人の材料科学者のうち、唯一の日本人が不肖私めだったという椿事について「世界の材料科学者トップ100にランクイン」と題するエントリーに記しました。この衝撃的事実は、特別顧問を務めている PANalytical のオランダ本社からの通知により、遅ればせながら2016年夏に知りました。当時、同社から広報活動用に使わしてもらえないかと打診されたのですが、何分にも5年前の調査結果だったため、丁重にお断りしました。その代わり、東日本大震災の直前にタイムスリップした私が書き散らしたという体裁に脚色し、上記エントリーに仕立て上げた次第です。

    NIMS の所内ホームページでは Web of Science に収録された論文のうち NIMS の研究者が2004年以降に発表した全論文(現時点で20,053報)の被引用数を調査できます。以前は最新データが利用できませんでしたが、今年から頻繁に更新されるようになりました。

    本日、被引用数1,000以上の論文を検索したところ7報の論文がヒットしましたが、なんとそのうち2報が VESTA に関する論文 (Momma & Izumi, 2008; Momma & Izumi, 2011) でした。門馬と泉はもはや NIMS の職員ではありませんが、両論文ではいずれも所属が NIMS となっているため、スクリーニングをくぐり抜けて検索結果にもぐり込んだのです。

    特筆大書すべきなのは、VESTA 3に関する論文 (Momma & Izumi, 2011) の被引用数が2,512に達し、単独首位に躍り出たことです。2万報を超す論文の頂点に立ったのは快挙と言ってよいでしょう。


    下の棒グラフに示すように、この論文は発表以来、被引用数/年が単調に増加し続けているモンスター級論文であることから、数年後には他の NIMS 発論文が絶対に追いつけない、破格のレベルに達する見込みです。


    可及的速やかにそのような伝説的水準に到達させたいので、VESTA で作成したイメージを含む原著論文やレビューを投稿する際には、ライセンス契約を遵守し、上記論文を必ず引用してください。故意か過失かは知る由もありませんが、かなりの割合で引用されていないように見受けられます。引用を怠った上、プレス発表資料にまで使う輩さえいるのは苦々しい限りです。

    今日、VESTA は CrystalMakerDIAMOND に代表される高価な結晶構造作画ソフトを駆逐するためのキラー・アプリケーションとして世界中で活用され、高い評価を得ています。結晶構造だけでなく VASP, ABINIT, WIEN2k を始めとするメジャーな電子状態計算プログラムで得られた voxel データも手軽に視覚化できることが VESTA の普及と知名度向上に拍車を掛けています。

    なお、旧バージョンに関する論文 (Momma & Izumi, 2008) の方は4位に留まりました。とはいえ、未だに年間200回強も引用されているのですから大したものです。「お役目ご苦労さん」と声を掛けたくなります。

    VESTA の前身である VICS・VEND のペアについては、別なエントリー「VESTA の両親 VICS・VEND 秘話 ― 道楽の果て」(2011年12月20日)と解説記事「結晶構造と電子状態の三次元可視化システム VENUS」をお読みください。なお VICS・VEND のソースコードは CD-ROM 版「セラミストのためのパソコン講座」に収録されておりますので、独自の可視化ソフトを製作したいという勇猛果敢な方は参考にしてください。ただし、結晶構造描画と voxel データ可視化の個別プログラムを統合し、なおかつ VESTA 3 を凌駕する逸品を製作しない限り、無価値の誹りを免れません。

    VICS・VEND が存在しなかったら VESTA は影も形もなかったに違いありません。私が定めた仕様を具現化するため、プログラマーとして奮闘してくれた Ruben A. Dilanian(現所属:メルボルン大学)に深く感謝します。
    文献 | 09:34 | comments(0) | - | - |
    粉末構造解析ハンズオンの開催(京都大学)
    3月21・22日に神戸大学で Mac ユーザーのための粉末構造解析講習会を開催しました。参加登録者は3月21日(講義)が90人、3月22日(実習)が37人でした。初日が望外の人気だった一方、Mac の使用は二日目の参加者を激減させてしまいました。一方通行の座学を通じて蓄えた知識はなかなか血肉化しないため、実習をスキップされた方々が大半だったのは残念でなりません。そこで9月28日に Windows 機を使用するハンズオンを京都大学・桂キャンパスで開催していただくことにしました。9:30〜18:00の長丁場ですが、年齢的、体力的には余裕綽々です。喉を痛めないよう適時、休憩を入れます。

    詳しくは会告をご覧ください。会場の電気系大講義室は階段教室で見通しが良い上、適度に空席が入るよう定員を60名に抑えるため、快適に受講していただけるでしょう。世話人を快く引き受けていただいた宮崎晃平先生に深謝します。

    実習だけの講習会は初の試みです。神戸大学での講習会の二日目に相当しますが、プレゼンテーションを若干増強することにより、講義を受けていなくても一連の粉末構造解析を体験できるよう工夫を凝らします。

    参加者には Windows・macOS 用インストーラーを事前配付します。実習の円滑な進行を図るとともに,その内容に遺漏がないように Windows・macOS 上での操作手順を逐一記述した懇切丁寧なチュートリアルをインストーラーに同梱します。チュートリアルでは近年書きためてきたブログ・エントリーEvernote の公開ノートへのリンクが多数張られているため,貴重な付加的情報も入手可能です。チュートリアルは現時点で計106ページに達していますが、9月までに一層熟成させます。後日、実習内容を再現する際、強力な援軍になるでしょう。

    2015年秋以来、独演の無料講習会(通常は講義を含む二日間コース)を各地で催しています。これまで龍谷大学岡山大学、前述の神戸大学で開催し、好評を博してきました。来春にはファインセラミックスセンター(名古屋)で、来夏には東京工業大学(大岡山キャンパス)で開く予定なので、東海3県や首都圏の方々にはそちらに参加するという選択肢もあります。

    本講習会は参加申込者が定員を10数名超過したため、7月20日に参加登録を締切りました。
    13 回目の恒例行事 at 神楽坂 (2017)
    1996年以来ほぼ一年おきに催し、好評を博してきた粉末X線回折の講習会を今年も開講します。


     日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」

    日時: 2017 年 7 月 12 日(水)・ 13 日(木)・14 日(金)
    会場: 東京理科大学 神楽坂キャンパス 1号館


    同講習会の来歴については、ブログエントリー 「粉末X線回折講習会の歴史」をご参照ください。前回同様、私が独断でプログラムを編成しました。第一線で活動中の研究者に高度な内容を教授していただくとともに粉末X線回折の新潮流に対応するため、実績のあるベテラン研究者(虎谷秀穂、河野正規)と新進気鋭の若手(冨中悟史)に新規講師を依頼しました。

    虎谷先生にはAコースで二つの講義を担当して頂きます。Aコース最後の講義では、リートベルト法を使わずに済む新定量分析技術を紹介されます。多相結晶質試料の定量は反応生成物や工業材料のキャラクタリゼーション、工程管理などに広く使われています。昨年末にお会いしたとき、リートベルト法に勝るとも劣らない分析結果が得られると胸を張っておられました。

    河野先生(Cコース)は多孔性配位高分子 (金属有機構造体) の専門家です。近年、非対称単位内の原子数が多い配位高分子の結晶構造をシンクロトロン粉末X線回折により次々に決定されました。幾何学的パラメーターに抑制条件を課す構造精密化に長く RIETAN-FP を使って頂いているのは光栄です。原子数の多い有機化合物の未知構造を解くための手続きとノウハウを詳しく教えてくださるでしょう。

    冨中先生がCコースで講義される二体分布関数 (Pair Distribution Function: PDF) の解析は将来有望な手法です。PDF 解析は短波長のシンクロトロンX線や Ag Kα 特性X線で測定した広い Q 範囲の強度データを解析することにより古典的構造精密化法であるリートベルト法を補完してくれます。詳しくは2016年10月21日のブログエントリー「第10回 結晶性萌芽材料 粉末回折研究会開催のお知らせ」と当該研究会のアブストラクトをお読みください。冨中先生が鋭意開発中の PDF 解析ソフトはいずれ無償配付される予定であり、RIETAN~FP の行列サイズ拡張版が組み込まれるため、個人的にもその登場を心待ちにしています。胸を張って自作プログラムについて語る講師が増え、しかも NIMS に所属しておられるというのは喜ばしい限りです。

    私はBコースにおける午後の講義「RIETAN-FP と周辺プログラムとの連携」で RIETAN-FP が出力するファイルを通じた ALBA, superflip, EXPO2014, Dysnomia などとの連携について話します。リートベルト解析やパターン分解の枠を超えた高度な解析を通じて、粉末回折データからさらに構造情報を引き出せます。

    よんどころない事情から井田 隆先生にはAコースからCコースに移って頂きました。粉末回折における新たなトレンドとしてベイズ推定による構造解析について解説されます。ベイズ推定については「構造解析におけるベイズ推定の応用」を参照してください。

    「粉末X線回折講習会の歴史」に記したように、過去3回の本講習会では、A・Bコースで定員を上回る参加申込みがありました1)。A・Bコースの受講を希望する方は早めの参加登録をお奨めします。

    本講習会は他に類を見ないほど多くの参加者を引き寄せてきましたが、来年以降も(主催者、名称、内容などを変えて)続くのか否かについては、見通しが立ちません。いずれにせよ、神楽坂キャンパスで開催するのは今回が最後となるでしょう。

    1) 予想通り、A・Bコースの受講者は定員(180名)を超過した。
    Mac ユーザーのための粉末構造解析講習会
    2017年3月21日(火)・22日(水)に神戸大学で無料講習会「RIETAN-FP•VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」を開催することになりました。二日間にわたる出前講習会は龍谷大学岡山大学に続き3回目です。奮ってご参加ください。

    拙作ソフトの実習に Mac を使うのはこれが初めてです。後述のように Windows ユーザーが講義だけでも聴講する意義があるよう配慮しました。

    実習には Jedit X (+RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境), RIETAN-FP v2.84 (未公開), FOX, VESTA, gnuplot, ORFFE, lst2cif, refln, cif2ins, ALBA, superflip, EDMA, Dysnomia + MPF_multi などの無料プログラムたちを総動員します。ピークサーチ、指数づけ、バックグラウンドの評価に使うソフトは WinPLOTR から FOX に切り換えます。FOX にはベイズ推定によりバックグラウンドを見積もれるというメリットがあります。得られた離散バックグラウンド強度を含む XML ファイル hoge.xml を RIETAN-FP で直接読み込み、hoge.bkg を自動的に作成できるようにしました。

    さらに、最近開発した未公開ユーティリティー
    • 多相リートベルト解析用入力ファイル自動作成マクロ combins
    • 正規表現置換エンジン(sed, perl, ruby など)を駆使する逐次リートベルト解析マクロ sda
    をお披露目し、両者の秀逸なパフォーマンスを実感していただきます。いずれも RIETAN-FP を日常的に利用している現場で絶大な威力を発揮し、解析に要する労力と時間を大幅に減らすと確信しています。

    参加者には講義に使う全スライド (PDF ファイル)、インストーラー、チュートーリアルを事前に配付します。チュートーリアルは macOS 用に一部を書き直します。本講習会では参加者数を度外視していますが、圧倒的多数派である Windows ユーザーのために Windows 用のインストーラーとチュートーリアルのアーカイブファイルも講習会終了後に配付し、波及効果の最大化を図ります。さらに、Mac を持ち合わせていないため初日の講義だけ聴講するという方にも Windows 用アーカイブファイルを差し上げます。

    macOS・Windows 用チュートーリアルは計98ページの力作です。懇切丁寧に書かれた LaTeX 文書であり、これらを参照するだけで実習内容を自習できます。実習以外の有用な情報についても多数言及しています。

    参考までに RIETAN に関する論文二報の被引用数の年次変化を下図に示します。「RIETAN vs. Z-Rietveld」中のグラフと多少異なっているのは、Web of ScienceScopus を文献収集能力で凌駕している Google Scholar で調べたためです。日本発の研究成果が徐々にシュリンクしていく中で、全体として増加傾向にあるのは驚きです。RIETAN-FP や周辺ソフトが未だに進化の歩みを止めていないのが功を奏しているのでしょう。


    (事後報告)参加登録者は3月21日が90人、3月22日が37人でした。Mac ユーザーが少数派であることを思い知らされましたが、講義聴講者が望外に多かったことに救われました。
    GNU sed 4.4 の公開
    Mac 用 RIETAN-FP・VENUS システム用のシェルスクリプトでは、文字列の置換や行の抽出・削除などにストリーム・エディター sed を使いまくっている。grep や awk よりも利用頻度がはるかに高い。

    E2J.command では、英語 → 日本語置換のためにパイプ経由で sed を繰り返し実行することにより、LaTeX 文書の「和訳」を実現した。パイプによる並列処理はきわめて高速で、E2J における律速段階は pLaTeX による組版の方だ。反射リストからデータを抽出して CIF を作成するシェルスクリプト refln.command では、反射リストと数値の抽出に sed を使用する。極め付けは逐次リートベルト解析用スクリプトsda.commandで、ユーザーが正規表現対応の置換エンジンとして sed コマンドを自分で入力する仕組みとなっている。

    それほどお世話になっている sed が最近 v4.3 にバージョンアップしたことを知り、小躍りしたのは言うまでもない。その直後に早くも v4.4 にマイナー・アップデートされた。v4.3以降では、正規表現マッチング速度が約10倍高速化したそうだ。

    v4.4は次の手続きに従ってビルドできる。
    1. GNU sed の Web サイトから sed-4.4.tar.xz をダウンロードする。
    2. sed-4.4.tar.xz をダブルクリックして解凍すると、sed-4.4 フォルダーが生成する。
    3. sed-4.4/INSTALL(テキストファイル)に記載されている手続きに従ってビルドする。
    4. 実行可能プログラム sed-4.4/sed/sed が生成する。
    Mac 用 RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境のシェルスクリプトはすべて sed 4.4 を使うよう変更した。今後も積極的に sed を活用していく所存である。
    第10回 結晶性萌芽材料 粉末回折研究会開催のお知らせ
    名古屋工業大学の福田功一郎先生のご尽力により、毎年恒例の粉末回折研究会(一般公開)を開催します。

    第10回 結晶性萌芽材料 粉末回折研究会
    日時: 2016年12月2日(金)15:00〜18:00
    開催場所: 名古屋工業大学(御器所キャンパス)2号館

    プログラム
    15:00〜15:30 泉 富士夫「粉末構造解析結果のドキュメンテーション」
    15:30〜17:00 冨中悟史「PDF を用いたナノ材料の未知構造解析手法」
    17:00〜18:00 質疑応答および懇談会                

    私の話は岡山大学での講演「英文執筆とテキストデータ処理 ― 私の流儀」の後半部分を焼き直したものに過ぎず、メインイベントは冨中氏の講演です。詳しくはアブストラクトをお読みください。十分広い教室で開催するため、事前の参加登録は必要ありません。聴講は無料です。

    二体分布関数 (Pair Distribution Function: PDF) の解析は、古くから無定形物質や液体などの構造解析に利用されてきました。PDF 解析は周期的構造からの「ずれ」を把握するためにブラッグ反射と散漫散乱成分の両方を解析することから、全散乱 (total scattering) 法とも呼ばれています。近年、放射光源やパルス中性子源で高強度ビームが使えるようになった結果、PDF 解析は結晶質材料にも広く適用されつつあります。PDF 解析は古典的構造精密化法であるリートベルト法を補完する役割を担えます。コンベンショナルな解析技術で得られた平均構造だけでは物性や化学的性質を理解し難い物質・材料への応用が期待できます。

    冨中氏は既成ソフトに対する不満点を解消するため独自の PDF 解析プログラムを鋭意製作中であり、完成の暁には無償でネット配付するそうです。名前はまだありません。X線リートベルト解析エンジンとして RIETAN-FP を組み込みます。

    長年にわたり膨大な数の研究成果に貢献してきた RIETAN、論文の被引用数/年が1000の大台に迫る勢いの VESTA に続く NIMS 発の著名ソフトウェア第3弾にまで成長することを願い、私はこの PDF 解析プログラムのプロモーションに全面協力しています。それが希少価値と波及効果を兼ね備えていると直感したためです。陳腐化・コモディティ化したリートベルト法にだけしがみついている時代は過ぎ去りました。本研究会を皮切りに、今後、講演会や講習会などを通じて宣伝・教育することにより知名度を高め、普及に努めていきます。ご期待ください。

    上記研究会に来訪していただいたお客様を手ぶらで帰すわけには行きません。出し惜しみをしないところが私の美点なので、正体不明「謎のプレゼント」を差し上げます。RIETAN-FP・VENUS システムの徹底活用に直接役立つものとだけ申し上げておきます。

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