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HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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粉末構造解析講習会が九州に上陸!
2015年秋以来、龍谷大学岡山大学神戸大学京都大学で開催し、好評を博してきた粉末構造解析に関する実習中心の講習会を2018年1月15日 (月)・16日 (火) に九州大学 伊都キャンパスで催します。


Windows 機に事前インストールすべきソフト、アクセス、キャンパスの地図などについては ナノ材料組織解析学・金子研究室の Web ページに掲示されている会告をご覧ください。

京大では体験学習だけの一日コースを初めて試みましたが、今回は講義(半日)+実習(一日)に戻します。いずれか一日だけの参加も認めます。九州での講習会は初めてなので、定員(120名、先着順)は多めに設定しました。といっても180名収容の大教室が会場ですから、詰め込み感のない環境で受講していただけるでしょう。もちろん学外者にも解放します。万障お繰合せの上ご参加頂ければ幸甚に存じます。

講義には百数十枚のスライドを使いますが、カラー印刷の経費と手間をカットするため、参加者には二つの講義用 PDF ファイル
  1. 粉末回折データの解析技術 — リートベルト法
  2. 粉末回折データの解析技術 — パターン分解、未知構造解析、MEM
を当日までに差し上げます。さらに二種類の副読本も付録として添付します。

ハンズオンには秀丸エディタ (+統合支援環境), RIETAN-FP v2.86, gnuplot, WinPLOTR, DICVOL, ORFFE, lst2cif, cif2ins, combins, sda, ALBA, superflip, EDMA, FOX, MPF_multi.command+Dysnomia, VESTA などのプログラムを使います。上記のソフトウェア群はピークサーチ、指数づけ、バックグラウンドの決定、リートベルト解析、多相リートベルト解析用入力ファイルの自動作成、Le Bail 解析、最大エントロピー・パターソン解析、未知構造モデルの構築(双対空間法とレプリカ交換法)、MPF解析、結晶構造と電子密度分布の三次元可視化といった広大な領域を網羅しています。リートベルト解析は one of them に過ぎません。

中でも cif2ins と 未公開ユーティリティー combins の連携プレーは注目に値します。cif2ins は CIF (Crystallographic Information File) 中の結晶データをひな形ファイル template.ins に導入することにより RIETAN-FP 用入力ファイル *.ins に変換します。一方、 combins は複数の *.ins から多相解析用入力ファイル multi_phase.ins を自動生成します。multi_phase.ins を改名し、必要に応じて中身を編集してからリートベルト解析に移行します。ストリームエディター sed を活用したsda による逐次リートベルト解析の自動化も便利です。今回の実習では、BaSO4の粉末X線回折データのリートベルト解析における選択配向ベクトルの決定に応用します。

最後に訴求効果の高いデモンストレーションとして
  1. cif2pdf と E2J による CIF の LaTeX 文書化
  2. RIETAN-fP, PyAbstantia, VESTA の連係プレーによるリチウムイオン二次電池用正極材料(三元系: NMC)における Li+ イオンの拡散経路の可視化
を実演します。両者を実習から外すのは TeX LiveMiniconda(python 3.6を使うのに最小限必要な環境)がかなり大きなディスクスペースを占有するためです。ただし後述のチュートリアルを参照すれば、TeX Live と Miniconda は容易にインストールできます。

参加者には Windows・macOS 用インストーラーも事前配付します。実習・実演の円滑な進行を図るとともに、その内容に遺漏がないように Windows・macOS 上での操作手順を逐一記述したチュートリアル(計121ページ)をインストーラーに同梱します。チュートリアル中には近年書きためてきたブログ・エントリーEvernote の公開ノートへのリンクを多数張ってあるため、豊富な付加的情報が手に入ります。後日、実習・実演内容を再現する際、強力な援軍となるでしょう。

なお、来春にファインセラミックスセンター(名古屋)で、来夏に東京工業大学(大岡山キャンパス)で同様な無料講習会を催すという計画に変わりはありません。講義の依頼は随時受け付けておりますので、遠慮なく声を掛けてください。
粉末構造解析ハンズオンの開催(京都大学)
3月21・22日に神戸大学で Mac ユーザーのための粉末構造解析講習会を開催しました。参加登録者は3月21日(講義)が90人、3月22日(実習)が37人でした。初日が望外の人気だった一方、Mac の使用は二日目の参加者を激減させてしまいました。一方通行の座学を通じて蓄えた知識はなかなか血肉化しないため、実習をスキップされた方々が大半だったのは残念でなりません。そこで9月28日に Windows 機を使用するハンズオンを京都大学・桂キャンパスで開催していただくことにしました。9:30〜18:00の長丁場ですが、年齢的、体力的には余裕綽々です。喉を痛めないよう適時、休憩を入れます。

詳しくは会告をご覧ください。会場の電気系大講義室は階段教室で見通しが良い上、適度に空席が入るよう定員を60名に抑えるため、快適に受講していただけるでしょう。世話人を快く引き受けていただいた宮崎晃平先生に深謝します。

実習だけの講習会は初の試みです。神戸大学での講習会の二日目に相当しますが、プレゼンテーションを若干増強することにより、講義を受けていなくても一連の粉末構造解析を体験できるよう工夫を凝らします。

参加者には Windows・macOS 用インストーラーを事前配付します。実習の円滑な進行を図るとともに,その内容に遺漏がないように Windows・macOS 上での操作手順を逐一記述した懇切丁寧なチュートリアルをインストーラーに同梱します。チュートリアルでは近年書きためてきたブログ・エントリーEvernote の公開ノートへのリンクが多数張られているため,貴重な付加的情報も入手可能です。チュートリアルは現時点で計106ページに達していますが、9月までに一層熟成させます。後日、実習内容を再現する際、強力な援軍になるでしょう。

2015年秋以来、独演の無料講習会(通常は講義を含む二日間コース)を各地で催しています。これまで龍谷大学岡山大学、前述の神戸大学で開催し、好評を博してきました。来春にはファインセラミックスセンター(名古屋)で、来夏には東京工業大学(大岡山キャンパス)で開く予定なので、東海3県や首都圏の方々にはそちらに参加するという選択肢もあります。

本講習会は参加申込者が定員を10数名超過したため、7月20日に参加登録を締切りました。
13 回目の恒例行事 at 神楽坂 (2017)
1996年以来ほぼ一年おきに催し、好評を博してきた粉末X線回折の講習会を今年も開講します。


 日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」

日時: 2017 年 7 月 12 日(水)・ 13 日(木)・14 日(金)
会場: 東京理科大学 神楽坂キャンパス 1号館


同講習会の来歴については、ブログエントリー 「粉末X線回折講習会の歴史」をご参照ください。前回同様、私が独断でプログラムを編成しました。第一線で活動中の研究者に高度な内容を教授していただくとともに粉末X線回折の新潮流に対応するため、実績のあるベテラン研究者(虎谷秀穂、河野正規)と新進気鋭の若手(冨中悟史)に新規講師を依頼しました。

虎谷先生にはAコースで二つの講義を担当して頂きます。Aコース最後の講義では、リートベルト法を使わずに済む新定量分析技術を紹介されます。多相結晶質試料の定量は反応生成物や工業材料のキャラクタリゼーション、工程管理などに広く使われています。昨年末にお会いしたとき、リートベルト法に勝るとも劣らない分析結果が得られると胸を張っておられました。

河野先生(Cコース)は多孔性配位高分子 (金属有機構造体) の専門家です。近年、非対称単位内の原子数が多い配位高分子の結晶構造をシンクロトロン粉末X線回折により次々に決定されました。幾何学的パラメーターに抑制条件を課す構造精密化に長く RIETAN-FP を使って頂いているのは光栄です。原子数の多い有機化合物の未知構造を解くための手続きとノウハウを詳しく教えてくださるでしょう。

冨中先生がCコースで講義される二体分布関数 (Pair Distribution Function: PDF) の解析は将来有望な手法です。PDF 解析は短波長のシンクロトロンX線や Ag Kα 特性X線で測定した広い Q 範囲の強度データを解析することにより古典的構造精密化法であるリートベルト法を補完してくれます。詳しくは2016年10月21日のブログエントリー「第10回 結晶性萌芽材料 粉末回折研究会開催のお知らせ」と当該研究会のアブストラクトをお読みください。冨中先生が鋭意開発中の PDF 解析ソフトはいずれ無償配付される予定であり、RIETAN~FP の行列サイズ拡張版が組み込まれるため、個人的にもその登場を心待ちにしています。胸を張って自作プログラムについて語る講師が増え、しかも NIMS に所属しておられるというのは喜ばしい限りです。

私はBコースにおける午後の講義「RIETAN-FP と周辺プログラムとの連携」で RIETAN-FP が出力するファイルを通じた ALBA, superflip, EXPO2014, Dysnomia などとの連携について話します。リートベルト解析やパターン分解の枠を超えた高度な解析を通じて、粉末回折データからさらに構造情報を引き出せます。

よんどころない事情から井田 隆先生にはAコースからCコースに移って頂きました。粉末回折における新たなトレンドとしてベイズ推定による構造解析について解説されます。ベイズ推定については「構造解析におけるベイズ推定の応用」を参照してください。

「粉末X線回折講習会の歴史」に記したように、過去3回の本講習会では、A・Bコースで定員を上回る参加申込みがありました1)。A・Bコースの受講を希望する方は早めの参加登録をお奨めします。

本講習会は他に類を見ないほど多くの参加者を引き寄せてきましたが、来年以降も(主催者、名称、内容などを変えて)続くのか否かについては、見通しが立ちません。いずれにせよ、神楽坂キャンパスで開催するのは今回が最後となるでしょう。

1) 予想通り、A・Bコースの受講者は定員(180名)を超過した。
Mac ユーザーのための粉末構造解析講習会
2017年3月21日(火)・22日(水)に神戸大学で無料講習会「RIETAN-FP•VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」を開催することになりました。二日間にわたる出前講習会は龍谷大学岡山大学に続き3回目です。奮ってご参加ください。

拙作ソフトの実習に Mac を使うのはこれが初めてです。後述のように Windows ユーザーが講義だけでも聴講する意義があるよう配慮しました。

実習には Jedit X (+RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境), RIETAN-FP v2.84 (未公開), FOX, VESTA, gnuplot, ORFFE, lst2cif, refln, cif2ins, ALBA, superflip, EDMA, Dysnomia + MPF_multi などの無料プログラムたちを総動員します。ピークサーチ、指数づけ、バックグラウンドの評価に使うソフトは WinPLOTR から FOX に切り換えます。FOX にはベイズ推定によりバックグラウンドを見積もれるというメリットがあります。得られた離散バックグラウンド強度を含む XML ファイル hoge.xml を RIETAN-FP で直接読み込み、hoge.bkg を自動的に作成できるようにしました。

さらに、最近開発した未公開ユーティリティー
  • 多相リートベルト解析用入力ファイル自動作成マクロ combins
  • 正規表現置換エンジン(sed, perl, ruby など)を駆使する逐次リートベルト解析マクロ sda
をお披露目し、両者の秀逸なパフォーマンスを実感していただきます。いずれも RIETAN-FP を日常的に利用している現場で絶大な威力を発揮し、解析に要する労力と時間を大幅に減らすと確信しています。

参加者には講義に使う全スライド (PDF ファイル)、インストーラー、チュートーリアルを事前に配付します。チュートーリアルは macOS 用に一部を書き直します。本講習会では参加者数を度外視していますが、圧倒的多数派である Windows ユーザーのために Windows 用のインストーラーとチュートーリアルのアーカイブファイルも講習会終了後に配付し、波及効果の最大化を図ります。さらに、Mac を持ち合わせていないため初日の講義だけ聴講するという方にも Windows 用アーカイブファイルを差し上げます。

macOS・Windows 用チュートーリアルは計98ページの力作です。懇切丁寧に書かれた LaTeX 文書であり、これらを参照するだけで実習内容を自習できます。実習以外の有用な情報についても多数言及しています。

参考までに RIETAN に関する論文二報の被引用数の年次変化を下図に示します。「RIETAN vs. Z-Rietveld」中のグラフと多少異なっているのは、Web of ScienceScopus を文献収集能力で凌駕している Google Scholar で調べたためです。日本発の研究成果が徐々にシュリンクしていく中で、全体として増加傾向にあるのは驚きです。RIETAN-FP や周辺ソフトが未だに進化の歩みを止めていないのが功を奏しているのでしょう。


(事後報告)参加登録者は3月21日が90人、3月22日が37人でした。Mac ユーザーが少数派であることを思い知らされましたが、講義聴講者が望外に多かったことに救われました。
第10回 結晶性萌芽材料 粉末回折研究会開催のお知らせ
名古屋工業大学の福田功一郎先生のご尽力により、毎年恒例の粉末回折研究会(一般公開)を開催します。

第10回 結晶性萌芽材料 粉末回折研究会
日時: 2016年12月2日(金)15:00〜18:00
開催場所: 名古屋工業大学(御器所キャンパス)2号館

プログラム
15:00〜15:30 泉 富士夫「粉末構造解析結果のドキュメンテーション」
15:30〜17:00 冨中悟史「PDF を用いたナノ材料の未知構造解析手法」
17:00〜18:00 質疑応答および懇談会                

私の話は岡山大学での講演「英文執筆とテキストデータ処理 ― 私の流儀」の後半部分を焼き直したものに過ぎず、メインイベントは冨中氏の講演です。詳しくはアブストラクトをお読みください。十分広い教室で開催するため、事前の参加登録は必要ありません。聴講は無料です。

二体分布関数 (Pair Distribution Function: PDF) の解析は、古くから無定形物質や液体などの構造解析に利用されてきました。PDF 解析は周期的構造からの「ずれ」を把握するためにブラッグ反射と散漫散乱成分の両方を解析することから、全散乱 (total scattering) 法とも呼ばれています。近年、放射光源やパルス中性子源で高強度ビームが使えるようになった結果、PDF 解析は結晶質材料にも広く適用されつつあります。PDF 解析は古典的構造精密化法であるリートベルト法を補完する役割を担えます。コンベンショナルな解析技術で得られた平均構造だけでは物性や化学的性質を理解し難い物質・材料への応用が期待できます。

冨中氏は既成ソフトに対する不満点を解消するため独自の PDF 解析プログラムを鋭意製作中であり、完成の暁には無償でネット配付するそうです。名前はまだありません。X線リートベルト解析エンジンとして RIETAN-FP を組み込みます。

長年にわたり膨大な数の研究成果に貢献してきた RIETAN、論文の被引用数/年が1000の大台に迫る勢いの VESTA に続く NIMS 発の著名ソフトウェア第3弾にまで成長することを願い、私はこの PDF 解析プログラムのプロモーションに全面協力しています。それが希少価値と波及効果を兼ね備えていると直感したためです。陳腐化・コモディティ化したリートベルト法にだけしがみついている時代は過ぎ去りました。本研究会を皮切りに、今後、講演会や講習会などを通じて宣伝・教育することにより知名度を高め、普及に努めていきます。ご期待ください。

上記研究会に来訪していただいたお客様を手ぶらで帰すわけには行きません。出し惜しみをしないところが私の美点なので、正体不明「謎のプレゼント」を差し上げます。RIETAN-FP・VENUS システムの徹底活用に直接役立つものとだけ申し上げておきます。
岡山大学での講習会と講演会(まとめ)
「泉 富士夫の粉末回折情報館」の新着情報に掲示した岡山大学での講習会・講演会(2016年7月11〜13日)に関する会告と開催報告に加え、同大学の関連 Web ページへのリンクを合体したのが本エントリーである。

1. 2016年6月3日(金)講習・講演会(岡山大学)のお知らせ

2016年7月11日(月)・12日(火)に岡山大学工学部

「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」講習会
ポスター | 要旨

を開催することが決まりました。日本中の学生、研究者、技術者の(再)教育を目指しているため、学外の方でも参加登録さえしていただければ受講できます。

11日はリートベルト法、パターン分解、構造モデルの構築、最大エントロピー法 (MEM) などの粉末回折データ解析技術について初心者向きに講義し、12日を実習に当てます。Windows 上での実習には秀丸エディタ (+統合支援環境), RIETAN-FP v2.82, VESTA v3.3.8, gnuplot v5.0.3, WinPLOTR, DICVOL, ORFFE, lst2cif, cif2ins, ALBA, superflip, EDMA, FOX, Dysnomia + MPF_multi などの無料プログラムを使います。昨年10月に龍谷大学で開催した「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」で使用した無料プログラム群の一部を更新し FOX を追加したものに相当し、特製インストーラーにより C:¥Program Files フォルダーに一挙にインストールできます。このインストーラーは後日、自分の Windows PC でもお使い頂けます。

講義には百数十枚のスライドを使いますが、カラー印刷の経費と手間をカットするため、参加者にはその PDF ファイルを配付します。実習では上に列挙したプログラムをインストールした後、次から次へと実行していくため、メモをとり続けるのは大変です。そこで実習時の操作を箇条書き形式で逐一記述した LaTeX 文書を参加者に配付し、後で各自が実習内容を再現できるよう配慮します。これほど出し惜しみしない講習会は希でしょう。

7月13日(水)には理工系の方々を対象に

「英文執筆とテキストデータ処理 ― 私の流儀」

と題して講演します。前半は長く英語論文の添削に従事してきた経験に基づいてまとめた理工学一般で通用するチュートリアル「科学英語論文執筆の手引き」を眺めながら、キーポイントを解説していきます。後半はテキストファイルを sed や awk などの UNIX ツールや gnuplot や LaTeX などのフリーソフトウェアにより CUI (Character User Interface) を通じて処理することの重要性と効率の高さを説きます。余興として裏技 mcz を披露した後、RIETAN-FP の解析結果から CIF (Crystallographic Information File) 、グラフ、結晶模型、電子密度分布図などを作成し、それらを LaTeX で PDF ファイルとして統合し、さらには和訳するという一連の手続きを実演します。すべて自前のソフトで作成したデータだということを誇りに思います。

参加者には「科学英語論文執筆の手引き」、プレゼンテーション用 PDF ファイル、謎の超弩級プレゼント(希望者限定)を差し上げます。講習・講演会のいずれも参加登録費は無料です。個人的社会貢献として催すため、講義・講演料もゼロ円とするよう大学にお願いしました。

三日連続で人前に立つのはかなりきついですが、体調を崩さぬよう気をつけます。盛会となれば馬力が一段と上がりますので、奮ってご参加ください。

2. 2016年7月16日(土)全力講習会・講演会の開催報告

岡山大学工学部で7月11・12日に開催した「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」講習会と翌日の講演会は延べ90名以上の参加者を集め、盛会裏に終わりました。学外の受講者がかなり多かったのが特徴です。中国四国・近畿・中部・関東・東北の各地方はもとより、なんと外国在住の方までおられ、明らかにローカルな催しからの脱却を果たしていました。当初会場に予定していた教室では受講者を収容し切れなくなったため、より広い教室に変更したにもかかわらず、そこもほぼ満杯という望外の人気を博しました。

12日の実習は昼食抜きの過酷なデスマッチとなりました。多少のトラブルこそ勃発したものの、渾身の力を振り絞った実地指導と LaTeX で箇条書きにした手順書は好評だったようです。翌13日の「英文執筆とテキストデータ処理 ― 私の流儀」講習会は、力余って予定時間(1時間半)を60分近く超過してしまいました。やや冗長な上、脱線気味だったことを反省しています。

再配布禁止条件の下で参加者だけに差し上げる「謎の超弩級プレゼント」とは、RIETAN-FP_manual.pdf をタイプセットするのに必要な全ファイル(*.tex, *.bib, my.bst, *.pdf)のアーカイブファイル(56.7 MB)に他なりません。私はもう先が短いです。これらを死蔵したままこの世を去るよりは、多数の図、表、数式、文献を含む巨大文書の高品質・高速組版技術の公開を通じて社会に貢献すべきだという心境を抱くに至りました。

事前の予想を大幅に超す参加登録者数に励まされつつ体力の限界に挑み、三日間のワンマンショー(+懇親会)を無事乗り切りました。献身的に支援して頂いた教職員の方々と受講者の皆様に厚く御礼申し上げます。今回の成功に意を強くしましたので、来年度も実習主体、参加費無料、無報酬の講習会を中部地方以西で開催するつもりです。ご期待ください。

3. 2016年8月19日(金)岡山大学の関連 Web ページ(新着ニュース)

共同利用機器利用講習会「RIETAN-FP・VENUSシステムと外部プログラムによる粉末構造解析」を開催
RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムの講習会(龍谷大学)
8月に名工大付属図書館で催したシンクロトロン光利用者研究会(第3回 XRD グループ)での実習が好評だったことに意を強くし、ほぼ同様の実習を含む講習会を関西圏の大学でも出前開催したくなりました。そこで、拙作ソフトのユーザーに相談し、協力をお願いしておりましたが、このほどプログラム、日時、場所が確定しました:

RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析
日時: 2015年10月27・28日
場所: 龍谷大学 瀬田キャンパス 3号館
参加費: 無料

初日は座学だけですが、二日目は Windows 用 RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境秀丸エディタ用マクロの集合体)上で WinPLOTR, DICVOL, RIETAN-FP, cif2ins, ALBA, Superflip, EDMA, Dysnomia, gnuplot, Ghostscript, VESTA などによる実測強度データの処理(ピークサーチ、指数づけと格子定数の精密化、バックグラウンドの見積もり)、リートベルト解析、hoge.cif → hoge.ins 変換、ハイブリッド・パターン分解、最大エントロピー・パターソン解析、チャージフリッピング、電子密度ピークへの原子の割り付け、MEM 解析、解析結果のグラフ化、結晶構造と電子密度の三次元可視化というコンテンツ過多気味の実習を行います。RIETAN-FP は近日中に公開予定の v2.7 を使用します。

これほど多くのプログラムを次から次へと実行していくとなると、何も後に残らないのではないかと危惧する向きが多いでしょう。心配無用です。詳細を好評するのは避けますが、後で各自復習できるよう意表を突いた工夫を凝らしてあります。さらに、無味乾燥な内容とならぬよう適度なエンターテインメント性も導入します。時間が余ったら科学英語論文執筆について一席ぶちます

A〜Z ドライブに対応可能なインストーラーによる上記ソフトウェアのインストールから始める予定です。名工大では秀丸エディタを Z ドライブにしかインストールできなかったので、インストーラーの製作に四苦八苦しましたが、龍谷大の教育用端末の場合、秀丸エディタが C ドライブにインストール済みのため、楽なものです。秀丸エディタは大学の PC にインストールして教育目的で使う場合、無償となります。この太っ腹な制度を活用しない手はありません。

実習用インストーラーばかりでなく、プレゼンテーションに使う PDF ファイルと科学英語論文執筆に関する文書まで配付するという型破りな講習会です。後者には、かつて中性子回折に関する数多くの論文を添削しまくった経験が活かされています。製本していない紙の束を手渡してゴミ箱に直行させるのは気が進みませんので、あえて全ファイルの提供(再配布禁止)にまで踏み込みます。印刷経費がかからないのも好ましいです。

本講習会は名工大をスポンサーとする社会教育活動の一環として開催します。拙作ソフトウェアの教育と普及にご賛同いただいた名工大と会場を提供していただく龍谷大に感謝します。
PANalytical 粉末X線回折セミナーでの特別講演
昨年から特別顧問を務めているスペクトリス株式会社 PANalytical 事業部主催のセミナーで RIETAN-FP に関する特別講演を2回行うよう依頼されました:

PANalytical 粉末X線回折セミナー

2015年5月22日(金): WTC コンファレンスセンター(東京、浜松町)
2015年5月26日(火): 千里ライフサイエンスセンター(大阪、千里中央)

泉 富士夫「外部プログラムとの連携を補強した RIETAN-FP v2.6」


これは第7回結晶性萌芽材料 粉末回折研究会(昨年12月15日)とシンクロトロン光利用者研究会(3月5日)での講演を合体し洗練させたものに他なりません。すなわち、昨年暮れにリリースした RIETAN-FP v2.5 と近日中に公開する v2.6(注: 4月21日にリリース)に盛り込んだ機能について語ります。昨年秋以降に猛スピードで開発した新バージョンに焦点を絞るという意表を突いた内容には、参加者も度肝を抜かれることでしょう。短時日の内によくぞここまで前進したものだと自画自賛しています。主として名工大の学生を相手に最新成果を披露する機会に恵まれたことが、日々の苦役に疲弊した自分の背中を押してくれました。

講演タイトル中の「外部プログラム」は ALBA, EXPO, superflip, EDMA, Dysnomia, gnuplot を指しています。ALBA を用いて最大エントロピー・パターソン (MEP) 法で重畳反射の積分強度を改良すれば、EXPO や superflip による構造モデルの構築が容易になることが期待できます。EXPO については昨年の PANalytical セミナーで言及したので、今年は主に superflip によるチャージ・フリッピング解析の例と勘所を示します。RIETAN-FP は superflip の入力ファイル hoge.inflip を出力してくれるので、ハイブリッド・パターン分解 (+MEP 解析) を実行し、必要に応じて hoge.inflip を修正した後、すみやかにチャージ・フリッピングへと移行できます。

v2.6の目玉である gnuplot を活用した結晶子サイズとミクロ歪みの評価は Bragg–Brentano 型粉末X線回折装置の利用価値を高めるテクニックなので、PANalytical 主催のセミナーにうってつけのトピックスです。PDF ファイルに出力した Williamson–Hall・Halder–Wagner プロットの表示を通じ視覚に強く訴える上、異方的ブロードニングも一目で認識できます。リートベルト・Le Bail 解析で精密化したプロファイル・パラメーターは互いに相関が強いので、それらから結晶子サイズとミクロ歪みを求めるのは原理的に不健全だとみなしています。

粉末X線回折による微細構造のキャラクタリゼーションは種々の多結晶材料にもっと広く応用されて然るべきではないでしょうか。種々の材料の物性や化学的性質を理解しようとする際、結晶構造ばかりに注目するのは片手落ちです。特筆大書したいのが Williamson–Hall と Halder–Wagner プロットに関する充実したドキュメンテーション(RIETAN-FP_manual.pdf, Chap. 13)の提供です。名工大 先進セラミックス研究センター年報の原稿に加筆したものですが、今後これらの解析に取り組もうと意気込んでいる人達から、明快で平易な解説として大歓迎されるに違いありません。さらに、上記機能と関連して「Williamson–Hall と Halder–Wagner プロットを好みに応じて変更する方法」と題するエントリー(4月25日)をブログに投稿しましたので、興味のある方はお読みください。

この他、福田功一郎先生の特別講演「X線粉末回折法によるセラミックス材料の解析 ― 未知構造解析から結晶相の定量分析まで ―」や弊社スタッフによる粉末X線関連製品の紹介も含む盛り沢山な内容となっております。粉末X線回折に関する見聞を広めるのには格好の催しです。

福田先生はチャージ・フリッピングによる構造モデル構築についてお話になります。その際に RIETAN-FP v2.5 による hoge.inflip の自動作成が直接役立つはずです。今やチャージ・フリッピングは全盛時代を迎えつつありますが、X線回折専用という点が MEM/MPF による電子密度解析と共通しています。定評と実績のある無料ソフトウェア群 (superflip, RIETAN-FP, Dysnomia, MPF_multi, VESTA) が完備した今、Empyrean のような市販の粉末X線回折装置さえあれば存分に駆使できる秀逸な技法が金食い虫の中性子回折を蚊帳の外に追いやっているのは、なんと痛快かつ皮肉な現実ではありませんか。

今回は、昼食時に講師に質問するという異例の企画を立てました。また、参加者には Windows 版 RIETAN-FP・VENUS システム用のユーティリティー make_commands.bat を差し上げます。RIETAN-FP の入力ファイル(たとえば hoge.ins)を make_commands.bat にドラッグ&ドロップすれば、8つのバッチファイル(RIETAN.bat, Plot.bat, ORFFE.bat, lst2cif.bat, Superflip.bat, EDMA.bat, MSCS.bat, B2beta.bat)をサブフォルダーに生成してくれます。大所帯の組織で珍重されること、請け合いです。

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