お知らせ+活動記録+たわごと

HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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えり抜きエントリー選集
  • 2011.03.03: 世界の材料科学者トップ100にランクイン
  • その他 | 12:00 | comments(0) | - | - |
    STAP 細胞に関する難波紘二先生の辛辣なコメント
    難波紘二広島大学名誉教授のメールマガジンの記事を再録している武田元介氏のブログ「ある宇和島市議会議員のトレーニング」における STAP 細胞についてのブログエントリーは次の通り:
    1. STAP 細胞 1
    2. 独創?
    3. STAP 細胞 2
    4. STAP 細胞疑惑 1
    5. 切り貼り?
    6. 急展開
    7. 違和感
    8. 鹿鳴荘便り 1
    9. 論文の構造
    10. 鹿鳴荘便り 2
    11. 論文の構造・続
    12. STAP 細胞論文:剽窃の証拠
    13. 鹿鳴荘便り 3
    14. ネットの威力
    15. アルサブティ事件
    16. 空前の論文捏造
    17. STAP 細胞疑惑 2
    18. プレィジャリズム
    19. この一月
    20. 急転直下
    21. 論文取り下げ
    22. STAP 細胞論文の反響
    23. 生物学の歴史
    24. 分子生物学会
    25. 盗用学位論文
    26. 捏造/盗用の範囲
    27. 小保方学位論文についてのコメント
    28. 鹿鳴荘便り 4
    29. ブログを読む
    30. 鹿鳴荘便り 5
    31. 不思議な弁明
    32. 英語力
    33. 鹿鳴荘便り 6
    34. 米本昌平氏
    35. 鹿鳴荘便り 7
    36. 鹿鳴荘便り 8
    37. 日本版 ORI
    38. 体細胞と胚細胞
    39. 縮む世界
    40. STAP 細胞騒動のまとめ
    41. エイプリル・フール
    42. 三人市虎
    43. 鹿鳴荘便り 9
    44. 天声人語
    45. 自切
    46. ネットと匿名
    47. 情報拡散ルート
    48. 実験とは
    49. 奨学寄付金
    50. 鹿鳴荘便り 10
    51. STAP 細胞後日談
    52. 鹿鳴荘便り 11
    53. TBS 報道特集
    54. 海外論調
    55. 花の山
    56. 裁判と科学
    57. かっぱのへそ
    58. STAP 細胞アンケート
    59. STAP 細胞:報道検証 1
    60. 鹿鳴荘便り 12
    61. 馬屋原・小川法
    62. 鹿鳴荘便り 13
    63. 馬屋原氏訂正
    64. STAP 細胞:報道検証 2
    65. 旧石器遺跡捏造との類似性
    66. 鹿鳴荘便り 14
    67. 訂正とお詫び
    68. 書評:山中伸弥・畑中正一「iPS 細胞ができた!」
    69. 捏造確定
    70. STAP 細胞:報道検証 3
    71. リトマス試験紙
    72. 鹿鳴荘便り 15
    73. メルマガについて
    74. STAP 細胞:報道検証 4
    75. メールの名前
    76. STAP 細胞:報道検証 5
    77. パラダイム・チェンジ
    78. STAP 細胞:報道検証 6
    79. STAP 細胞:報道検証 7
    80. STAP 細胞:報道検証 8
    81. STAP 細胞:報道検証 9
    82. 鹿鳴荘便り 16
    83. STAP 細胞:報道検証 10
    84. STAP 細胞:報道検証 11
    85. STAP 細胞:報道検証 12
    86. 変痴気論
    87. STAP 細胞:報道検証 13
    88. 末期症状
    89. STAP 細胞:報道検証 14
    90. 書き込みを読んで 1
    91. STAP 細胞:報道検証 15
    92. 書き込みを読んで 2
    93. STAP 細胞:報道検証 16
    94. STAP 細胞:報道検証 17
    95. 書き込みを読んで 3
    96. STAP 細胞:報道検証 18
    97. 書き込みを読んで 4
    98. STAP 細胞:報道検証 19
    99. 書き込みを読んで 5
    100. STAP 細胞:報道検証 20
    101. 書き込みを読んで 6
    102. NHK スペシャル「調査報告 STAP 細胞 不正の深層」の放映
    103. NHK スペシャル「調査報告 STAP 細胞 不正の深層」を見て
    104. NHK スペシャル再放送
    105. 格言
    106. 号外:鹿鳴荘便り「カンメラー事件と自殺」
    107. 書き込みを読んで 7
    108. 異状死
    109. 書評など: 榎木英介「博士漂流時代」
    110. 続・カンメラー事件
    111. 笹井氏の死亡状況
    112. Prof. Vacanti
    113. 書き込みを読んで 9
    114. STAP事件、その後
    115. 書き込みを読んで 10
    116. 三題噺: 旧石器・STAP・従軍慰安婦
    117. 責任の取り方
    118. 書評など: 上原善広「石の虚塔」
    119. 謎の人物
    120. 朝日騒動・続
    121. ロジックとレトリック
    122. STAP 細胞後日談
    123. STAP 騒動、最終局面に
    124. 書込を読んで
    125. STAP 実験終了
    126. 読書日記 5
    127. STAP 細胞:エピローグ
    128. STAP 問題と新聞社説
    129. 科学不正の背景
    130. 書き込みを読んで 1/25
    131. 書評など
    132. 小保方告発へ
    133. 小保方告訴の周辺
    134. STAP 細胞の正体
    135. STAP 事件と神戸生体肝移植事件
    136. 書いた奴
    137. 小保方時限爆弾
    138. STAP 今やスポ新記事に
    139. 学位取り消し
    140. 小保方本
    141. 小保方本・続
    142. ティチャーズ・ペット
    143. ティーチャーズの背信
    144. AO 入試
    145. 書物離れ
    146. 早稲田 AO 入試
    147. サイコパス
    一部のタイトルはエントリー間の整合性を保ち、内容を把握しやすくするために変更したことをお断りしておく。

    難波先生は2014年の2月上旬以来、詳細かつ激烈に STAP 細胞の信憑性、小保方晴子氏の科学者としての資質、独創性、スキル、誠実さへの疑念、一部の共著者への不信感、理研幹部の管理能力への疑念を表明してこられた。これほど首尾一貫し、微塵もブレていない論説は希である。

    理研の不正調査は終始後手に回っており、理研幹部は組織防衛と保身に汲々としている。その上、石井俊輔上席研究員は過去の論文における画像の切り貼りが発覚し、調査委員会の委員長を辞任するという醜態を晒した。小保方氏と笹井芳樹氏の責任追及、CDBの解体、理事と竹市雅俊 CDB センター長の辞任を勧告した理研改革委員会の提言を無視した(注)ばかりか、文部科学大臣の言いなりになって小保方氏自身によるトンデモ科学検証実験(見張りと監視カメラ付き)にまで惜しげもなく血税をつぎ込み、ついには笹井氏の自死という最悪の事態を招くという迷走ぶりは、あまりにも不条理かつ無様だ。

    能動的な調査能力と自浄力が欠如し、不正疑惑の詳細について十分な説明責任を果たさぬまま周章狼狽しているだけの理研に STAP 細胞スキャンダルの全貌の解明を期待するのは、無理な相談である。たとえば、11ヶ月で計55回にも及ぶ笹井氏の小保方氏同伴の出張、再現性皆無の「STAP 細胞作製に関する実験手技解説」をあえて Nature Protocol Exchange に投稿して恥の上塗りをした経緯、丹羽仁史氏が中間報告で述べた培養液の pH の不一致について、十分な説明責任を果たしていない。pH 調整は STAP 細胞作製の根幹に係わる実験なので、論文記載の方法で pH が再現できないという事態はとりわけ深刻である。

    このままでは、理研は STAP 細胞疑惑発覚後も血税を無駄に費消し、なおかつ臭い物に蓋をした不公正な研究機関として今後長く後ろ指を指され、11年もの間、理事長として君臨してきた野依良治氏は歴史という名の法廷で裁かれ、晩節を汚すことになろう。

    本エントリーでは、実名の専門家による歯に衣着せぬ見解が継続的に発信され、理研幹部の低劣な当事者能力を見事に補っていることを広く世に知らしめるべく、上記のリンクを張らせて頂いた。貴重な情報の流布に貢献し得るのは、誠に光栄である。

    小保方氏らの論文に対する疑義がこれまでネットで多数指摘されたが、浅学非才にして細胞生物学の知識を持ち合わせていない私自身の意見は差し控えたい。

    (注) 笹井氏の死後ますます厳しくなった批判に耐えかねた理研幹部は、改革委員会の提言(竹市氏や一部理事などの退任を除く)を実質的に受け入れざるを得なくなった。
    その他 | 11:08 | comments(157) | - | - |
    「J-PARC ハドロン実験施設におけるトラブルについて(追加資料)」に関する一考察
    「格子面と反射の表記法について」(5月1日)で
    数値と単位の間にはスペースを入れるという基本的ルールに無頓着な(または、あえて無視している)著者や編集者は相当多いので、目くじらを立てていたら切りがない
    と述べたが、「J-PARC ハドロン実験施設におけるトラブルについて(追加資料)」という文書はまさにその典型例だ。これは一種の公文書のはずだから、杜撰な記述はいかにもまずい。J-PARC の看板とも言うべき Web ページを閲覧すると、"0kW", "50GeV", "25Hz" という不適切な表現がすぐ目に付く。国際標準ルールを尊重するという文化が欠如しているのは明らかだ。理工系研究者が心得ておくべき基本中の基本を無視するチャランポランな組織は、今回のような想定外の事が起きたときに不適切な措置を取る人が多いように、どうしても思えてしまう。

    おまけに単位中に含まれる "μ" を全角文字としたため、その前後に余計なスペースが入り、実に見苦しい。Symbol や Times などのフォントとすれば、すっきりするのだが。理工系の研究者が当然備えているべきスキルに欠けている。

    不可解なのは、このファイルがスキャナーで作成した不鮮明なイメージを PDF 化したものだということだ。なぜそんな面倒で無様なことをしたのだろうか。

    この文書は恐らく Word で書いたのだろう。4〜12ページにかけて多数の図が貼られている。最初は一部の図をスキャナーで読み込み、イメージファイルに変換し、それらを Word 文書にペーストしようとしたのではあるまいか。しかし、図が多くなるにつれて不安定になったり、どこかにぶっ飛んでしまったりするのは Word の常である。にっちもさっちも行かなくなり、大急ぎで文書を公開しなければならないという状況下で「糊と鋏」という古典的ローテク手段に頼ったと推定される。少々傾いて貼られている図(と表)が多いのは、そのためであろう。
    世の中 = 顔、金、色、欲
    「世の中ね、顔かお金かなのよ」というちょっと苦し紛れの回文は笑わせるが、太宰 治の「トカトントン」にも次の一節あり:
    「人生というのは、一口に言ったら、なんですか」
    と私は昨夜、伯父の晩酌の相手をしながら、ふざけた口調で尋ねてみました。
    「人生、それはわからん。しかし、世の中は、色と慾さ」
    案外の名答だと思いました。
    顔、金、色、欲 ―― これらがめっきり減衰したら、長居は無用、さっさとあの世に逝った方がましということか。年金の支払いを極力減らしたい借金超大国は、大いに喜ぶだろう。それでは、後10日余りで馬齢を重ねるオイラも(以下略)
    不吉な感謝状
    アメリカ化学会の ACS Publications から感謝状が届いた:

    CERTIFICATE OF APPRECIATION
    PRESENTED DECEMBER 2011 TO

    Dr. Fujio Izumi
    National Institite for Materials Science

    FOR YOUR VALUABLE CONTRIBUTION AND DEDICATED SERVICE IN
    THE PEER REVIEW OF MANUSCIPTS SUBMITTED TO ACS JOURNALS

    Susan King, PhD
    Senior Vice President, Jornals Publishing Group

    これを受けとるって名誉なことなんだろうか。ACS の学術雑誌は "MOST TRUSTED, MOST CITED, MOST READ" と自慢しまくってるところが嫌らしい。これからもどんどん査読を依頼するからよろしく、ということ? あまり嬉しくないなぁ。
    Forty Years in Japan, Once More
    平成軽薄体という独自のルールに則った文体で本掲示板に毎日なにがしかを書き込むという、賽の河原の石積みにも似た苦役から解放される日がついに到来しました。慶賀の至りでございます。今日は超臭い最後っ屁を大量にぶっ放します。

    本日で 5 年にわたる量子ビームプロジェクトが終了します。門馬綱一君は今日限りで新天地に去ります。私は少なくとも後一年は NIMS と名工大(客員教授)で研究を続けますが、その後は未定です。同プロジェクトにおける私の使命、すなわち粉末回折関係のソフトウェア開発と NIMS における量子ビーム研究のデモンストレーションが成功を収めたか否かは、幾度となく本掲示板でお知らせしてきた被引用数という数値データと依頼・招待講演・講義のリストから明らかでしょう。同プロジェクトからヘッドハンティングされるまで、私は「粉末 X 線解析の実際」第 2 版を編纂し、それをテキストとする講習会を一回開いた後、新規まき直し、狭い日本から飛び出し外国で一旗揚げようと目論んでいました。膨れ上がる一方の国の借金、少子高齢化に伴う活力の減衰、東日本を襲った災厄などを直視すると、そちらの選択肢の方がよほどましだったような気がします。あれから 6 年も経った今、もはや外国に移住する元気はありません(涙)。

    J-PARC が東日本大震災で甚大な被害を受け、復旧までには相当の日時を要するため、茨城県中性子利用促進研究会を休止し、事務局の業務を終了するというメールが今日届きました。同研究会からのスパム(2010 年 10 月 3 日)が当分来なくなるのは喜ばしい限りです。4、5 年前の話になりますが、集客、ひいては上記メーリングリスト用データの取得のために、閑古鳥が鳴いていた茨城県の研究会に半強制的に協力させられたのは迷惑至極でした(2007 年 11 月 9 日11 月 17 日)。ドサ回りの旅役者じみた茨城県研究会の講師を務めるのは、苦痛以外の何物でもありませんからね。しかし、私はさほど執念深い性格でありませんから、同研究会に恨みなどは抱いていません。事務局の業務停止の報を受けて湧き起こったのは、真っ先に切り捨てられる末端事務局員に対する憐憫の情でした。

    J-PARC が相当深刻なダメージを受けたのは、これらの写真から明らかです。一日も早く復旧することを心から祈っています。しかし J-PARC が復旧したところで、節電地獄が待ち構えています。KEK と同様に、大口電力需要者である J-PARC は東電との間で需給調整契約を結んでいるはずですから、電力事情が好転するまで厳しい節電(= 研究活動の縮小)を強いられ、冬の時代が続くでしょう。不要不急な加速器の運転は極力控え、日本経済の屋台骨である製造業や商業に優先的に電力を供給しないと、ただでさえ疲弊している日本経済が崩壊しかねません。大震災以降、節電の徹底、すなわち運転期間の短縮と出力の抑制こそ J-PARC が掲げている大目標の一つである「産業界への貢献」の最たるものに変わったのです。福島第一原発から茨城北部への放射能の拡散にも不安が募ります。大気中の放射線量は福島県を除けば茨城県が断トツに高いのです。たとえ実際には健康に害がなくとも、J-PARC での実験は長いこと敬遠される恐れが多分にあります(とくに外国人には)。可哀想なのは、中性子の施設で働いているポスドクや任期付き研究者、中性子散乱を研究テーマとする博士課程の学生です。将来パーマネントの地位を獲得するため研究成果を挙げようにも、商売道具が長期間使えないのですから。せいぜい外国の中性子源にプロポーザルを提出するんですね。

    研究も一種のビジネスに他なりません。いくら量子ビームプロジェクトに参加するとはいえ、J-PARC という疫病神に関わり合うと消耗するだけで、赤字垂れ流しに陥る、というマイ・カンピュータの警告はぴたりと的中しました。第一に今回の大震災で出鼻を挫かれたこと、第二に長期にわたり節電に努めざるを得なくなったこと、第三に各粉末回折装置用に最適化したリートベルト解析プログラムの開発が至難の業だという事実が確認されたことです。水銀ターゲットに適したプロファイル関数を新たに考案し、格子歪みや結晶子サイズに起因する異方的な回折プロファイルの拡がりを扱えるようにし、室温以上で測定した TOF 粉末中性子回折データの解析には必要不可欠な熱散漫散乱(TDS)の寄与を加えた上、装置やバンクごとにプロファイル関数を最適化するとなると、一筋縄で行きません。それらの努力を怠り、時代遅れで物理的に意味のない既成のプロファイル関数で済ました手抜きソフトを用いたときに直面するフィットの悪さ(2 月 4 日)を凝視してみてください。凡庸な指導者から身の丈を超えた仕事を丸投げされたにわか粉末回折屋の呻き声が聞こえてくるような気がしませんか。KENS の時代より分解能が上がっている分だけ、結晶性がやや低い試料と固溶体でフィットの悪さが浮き彫りになるんです。またブラッグ反射直下で盛り上がる TDS を無視したまま高 Q 領域の強度データを解析に含めると、温度が上がるほど原子変位パラメーター、ひいては観測積分強度の系統誤差が増します。こうなると、MEM 解析どころの騒ぎではありません。

    このようなサムすぎる状況を考慮すると、JAEA が組織レベルで要請してきたパルス中性子回折用プログラムの開発からまんまと逃げおおせたのは、まさに「してやったり!」です。そりゃ全力を振り絞り、真っ向からがっぷり四つで取り組めば、なんとかなるでしょう。しかし、モチベーションの上がらぬ難事業を外部資金抜きで請け負うほど、ご立派な人じゃありませんよ、オイラは。たかられ感が強すぎますし、徒労に徒労を重ねても平気の平左という年齢でもありません。JAEA の皆様には、もっと前向きの姿勢を示していただきたいです。徒に J-PARC の長期シャットダウンを嘆くのでなく、ご自分たちの回折装置用のソフトを自主開発する絶好のチャンスと見なしたらいかがでしょうか。そういう高度な技術を持ち合わせている人材は JAEA はもとより我が国の中性子業界にも皆無だという体たらくなのでしたら、色々ご不満はございましょうが、上記のトホホなソフトで我慢するんですね。ただし、単純な強磁性体の磁気構造すら解析できず(2010 年 2 月 16 日)、ろくなマニュアルもないという不都合な真実をお忘れなく。

    今年度限りで本掲示板を閉鎖すると宣言し、そのバックナンバーをざっと眺め渡していたとき、"Forty Years in Japan" というタイトルが目に止まりました。RIETAN-FP の前身である RIETAN Pro を開発していたころの述懐です。RIETAN-FP のブラッシュアップとメンテナンスは今後も続行しますので、RIETAN が我が国で 40 年の長きにわたり利用され続けるという文言を撤回するには及ばないでしょう。サイエンスにおける 40 年がとてつもなく長い年月であるのは言うまでもありません。そこまでたどり着けば、RIETAN は十分その使命を全うし、成仏したと評価して差し支えないでしょう。現在 RIETAN-2000/FP を使って頂いているユーザーが将来、他のソフトに乗り換える際には、RIETAN を通じて獲得した知識や経験がそのまま生きてくるはずです。何十年後かに、昔 RIETAN でリートベルト解析に初めてチャレンジしたんだよなぁ、と思い出してくれたなら、I 先生は草葉の陰で感涙にむせぶことでしょう。

    世界中で使われているリートベルト解析のプログラムはかなりの数に上ります。そうした群雄割拠の中、RIETAN-FP の存在意義はどこにあるのか ―― なんといっても、オリジナルな構造精密化技術である MPF 法です。古典的構造精密化法であるリートベルト法では、粉末回折データに含まれている構造情報を完全には抽出できません。GSAS, FullProf, TOPAS などが実行できるのは、今や陳腐化したリートベルト解析に留まっています。これらの著名ソフトで十分質の高い放射光粉末回折データをリートベルト解析した後、同じデータを RIETAN-FP + MPF_multi により MPF 解析してみてください。全自動ですから、楽なものです。RB と RF の著しい改善に度肝を抜かれ、深い感銘を受けるに違いありません。MPF 法による信頼度因子の向上は、共有結合性の高い有機化合物で頂点に達します。実質的に結晶構造を電子密度で表現する MPF 法の場合、結合電子の寄与も自ずと計算に取り込まれるためです。不規則分布した原子(団)を含む化合物の X 線・中性子回折データの解析でも絶大な威力を発揮します。さらに、レガシーな分割原子モデルに基づくリートベルト解析が苦手とする可動化学種の実空間分布の決定にも有効です。他に類を見ない自動 MPF 解析機能の具備が RIETAN-FP の独自性を際立たせ、その唯一性を強くアピールしています。

    RIETAN-FP のもう一つの強みは、強力な三次元可視化システム VESTA との密接な連携です。VESTA は GUI を備えたユーザーフレンドリーなビジュアル系ソフトであり、充実した英文マニュアルが付属していることから、すでに国際的な普及を果たしています。なにしろユーザーの半分強は外国人なのですから。最近、大幅な機能増強を果たした次世代版 VESTA 3 のベータ版をリリースしましたし、門馬君が今後も手入れを続けてくれますので、将来性に不安はまったくありません。長い年月を経て、最終的には VESTA に関する論文の累積被引用数は 3,000 を越すと堅く信じています。もちろん NIMS では他を圧してナンバーワン ―― これほどの偉業が確実に達成できるのですから、「それで十二分」感が強いです。人それぞれ研究の方向性、趣味嗜好、器の大きさ、生産性、使命感の強さは異なります。これ以上を彼に期待するのは酷というものです。

    死蔵したままになっている並列処理 MEM 解析プログラム Dysnomia は、日本結晶学会講習会「粉末 X 線解析の実際」(7 月 4〜6 日)における C コースの受講者にささやかな「おみやげ」として差し上げることにしました。PRIMA の賞味期限が切れかかっている今、門馬君の講義では当然 Dysnomia に言及しますから、参加者がそれを使えないようでは話になりません。また、大震災後に開催され、しかも本掲示板という巨大広告塔を欠いた同講習会に従来同様、参加者を引き寄せるためには、何らかの手を打つべきです。こういう時は太っ腹になるに限ります。Dysnomia は RIETAN-FP や VESTA のような巨大ソフトとは比べ物にならないほど小さいですが、キラキラ輝く珠玉のようなソフトです。末長く可愛がってやってください。そんな小物だけじゃ足りねぇと仰るなら、サインでも握手でもじゃんけんでも何でもやりますから、ぜひ同講習会に参加するようお願いいたします(AKB48 か、お前は!)。名工大の井田 隆先生の講義(A コース)では、回折プロファイルの解析について詳しく話していただきます。目新しいところでは、近く PDXL に実装される予定の RIETAN-FP 用 GUI に関する講義(B コース、No. 4)もありますよ。

    本 Web サイトのリストラは、この掲示板に留まりません。今後、予告抜きで少しずつ進めていくことをご承知ください。

    悪名高い本掲示板はこれにて一巻の終わりです。毎日読むのを日課にした結果、拙文から立ちのぼる毒気に免疫ができた方もおられると聞いています。長いこと本掲示板にお付き合いいただき、ありがとうございました。




    嗚呼、最後の最後まで饒舌と冗長で押し通しちまった。平成軽薄体が骨の髄まで染み込んだ文章を矯正しないと、社会復帰を果たせないだろうなぁ。そこで 140 文字の制限があるツイッターでリハビリしようと思い立ち、善は急げ、早速登録しました。URL は


    http://twitter.com/Izumi_Fujio

    です。少なくとも治療が終わるまでは、そこでボソボソ独り言を呟くことにします。差し支えなかったら、フォローしてやってください。フォロワーとは互いに直接メッセージをやりとりできます。本 Web ページについての自注もありますよ。

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