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HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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普及に弾みが付いた VESTA: 1,000 を超えた総被引用数
VESTA に関する文献(Momma & Izumi, 2006; Momma & Izumi, 2008; Momma & Izumi, 2011)の被引用数の合計が本日、1,006に達した。9月26日には900だったから、一日あたり1.34報がこれら三つの文献のどれか一つを引用していることになる。9月末の時点では「年明けに総被引用数が1,000に到達するのは確実だ」(衰えを知らぬ VESTA の人気)と予想していたが、早くも12月半ばにその数字をクリアしたのは想定外だった。まさに VESTA バブルの様相を呈している。

この驚異的な快進撃は来年も続き、年間被引用数が365(一日につき一回引用)を越すのは確実だろう。ドメスティックなソフトウェアでは絶対達成し得ない超弩級の数字である。VESTA が CrystalMaker Software 社の市場を食い散らかし、同社の心胆を寒からしめた結果、CrystalMaker の最新版が VESTA 形式のファイルが直接読み込めるようになったという事実が VESTA の国際的な普及を如実に物語っている。VESTA におけるエンターテインメント性とアカデミズムの調和、ユーザーフレンドリーな GUI を通じた結晶学的計算、ごく普通の PC 上での俊敏な動作は国境を越えた訴求効果を有するのである。

故意か過失かは知る由もないが、上記の文献を引用しない論文や解説も散見する。それらを含めたら、ざっと二割は増えるのではなかろうか。やはり罰則抜きの使用許諾条件だと、必然的にやりたい放題の無法状態に陥ってしまうのだ。といっても、強い対抗措置をとるのは控える。びた一文儲けているわけでないし、面倒な上、ユーザーから煙たがれるだけだから。せいぜい年に一度くらい論文の引用を怠った人に警告メールを送り、周章狼狽する様を Twitter に書き込んで興ずるくらいに留めておく(2012年6月19日の Twilog 参照)。

ブラッシュアップとメンテナンスの持続が、VESTA の人気と訴求力を保つための鍵を握っている。すでに十分な機能を備えているし、科学教育用の教材も兼ねているので、低価格 PC での俊敏な動作の妨げとなるほどの肥大化は好ましくない。とはいえ、今後も様々な要望が届くのだろう。ただ働きは馬鹿らしいので、機能追加は有償とするのはどうだろうか。

VESTA が「しょせん結晶・電子構造の三次元的理解のための便利で見栄えのする道具に過ぎない」(VICS・VEND 秘話 ― 道楽の果て)以上、個人的趣味、すなわち道楽にのめり込むのは避け、ほどほどに注力すべきだとも思う。本職がおろそかになったら元も子もない。道楽である証拠に、自分のサイフから少なからぬお金をつぎ込んでいた時期もあった。

自戒のために、先日某学会誌のために執筆した VENUS システムに関する解説では、VESTA にわずかなスペースしか割かず、お茶を濁しておいた。はっきり言って、何度もレビューを書くに値するほどのネタではない。論より証拠、Read & Resarchmap: 泉 富士夫 の「書籍」のパートを眺め渡せば、ビジュアル化ソフトについて執筆したものなど一つもないことがすぐわかる。要するに、専門書で正面切って取り上げるほどの学術的価値はないという、醒めた見方をしているのだ。

VESTA の前身である VICS・VEND のプログラミングを担当した Ruben Dilanian の口癖は「(VICS・VEND の根幹をなす) OpenGL はゲームソフト用の技術です」だった。内心、「こんな遊び半分のソフト開発に心血を注いだところで …」とぼやいていたのではなかろうか。

ところで、某中性子源では独自の三次元可視化ソフトを製作中と仄聞している。完全に VICS・VEND、ひいては VESTA の猿真似に過ぎないじゃないか。"It's too late" だ。VESTA がここまで普及し世界的名声を獲得している今、中性子源本来の業務を怠り、安直に追随したところで、高い評価と知名度は到底獲得できまい。「なんだ、これは」と嘲笑され、ローカルな底辺ソフトとして朽ち果てるだけだろう。そんな暇と金があったら、中性子回折の分野で本質的に重要で、学術的意義もある喫緊の課題(たとえば、一般磁気構造の解析、物理的に意味のあるプロファイル関数の考案、熱散漫散乱強度のモデリング)に真っ向から取り組むべきだ。あまりの手強さに尻込みしているようでは、装置グループが後追いしか能のない二流テクニシャン集団に堕してしまう。私自らが「心中さほど重きを置いておらず、少々遊びの度が過ぎたと反省すらしている」(VICS・VEND 秘話 ― 道楽の果て)と述懐したにもかかわらず、前車の轍を踏もうとしているのは、愚かな所業と切り捨てるしかない。遊びも度が過ぎるくらいでないと、ナンセンスと見なされるのである。

ただし、石にかじりついてでもVESTA を凌駕し葬り去るような優れものを完成させ、英文マニュアル付きで全世界に向けて無償で公開する、という殊勝な心構えでいるのなら話は別。初志を貫徹すべく、精々がんばってほしい。
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