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HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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VESTA に関する論文の被引用数の年次変化
無料三次元可視化システム VESTA に関する Journal of Applied Crystallography の論文 (Momma & Izumi, 2008; Momma & Izumi, 2011) の合計被引用数/年が昨年まで過去六年の間、どのように推移してきたかを Scopusで調査し、RIETAN の場合と同様の gnuplot スクリプトによりグラフ化してみた。


ご覧の通り、被引用数/年は猛烈な勢いで伸び続けてきた。自己引用が無視できるほど少ないにもかかわらず、望外の実績を挙げている。CrystalMaker や Diamond などの商用ソフトを上回る高機能、軽快な動作、詳細な英文ドキュメンテーションの賜だろう。VESTA は三つのプラットフォーム(Windows, OS X, Linux)に対応し、大学における科学教育(たとえば「RIETAN-FP・VENUS システムの化学教育への応用」を参照のこと)に広く活用されている上、メンテナンスや改良が継続している。最大の強みは海外での普及に弾みが付いていることだ。この勢いなら、2014年の被引用数が600に迫るのは間違いあるまい。三次元グラフィックの知識とスキルさえあれば開発できる単なる可視化プログラムとはいえ、国産科学技術プログラムとしては類い希な超弩級の実績である。

廃墟ページ「VICS・VEND 秘話 ― 道楽の果て」に書き散らしたように、前身の VICS, VEND, PRIMA, ALBA 時代から結晶学と電子状態計算との橋渡しを目指して可視化システムを開発してきたが、近年、後者の割合がじわじわ増えつつある。とりわけ密度汎関数法による平面波基底・擬ポテンシャル法電子構造計算プログラム VASP のユーザーは今や VESTA を定番ソフト視している。VASP の Web サイトでは VESTA が resource の一つとして紹介されているほどだ。VICS・VEND の初期バージョン以来、超有名プログラム VASP を重視し、野口祐二氏(東大)に全面協力して頂いてその出力ファイルの入力をサポートしてきたのが功を奏したのだろう。

一方、MEM・MPF 解析で決定した電子・散乱長密度を等値曲面として可視化したイメージを使用している論文は、さほど多くない。結晶学者としては少々寂しいが、比較的マイナーな研究手段なので致し方あるまい。

ご存じのように、VESTA で作成したイメージを論文や解説の図として使う場合は VESTA に関する論文の引用を義務づけている。どのバージョンを使おうが第二論文 (Momma & Izumi, 2011) を引用するよう要請しているが、第一論文 (Momma & Izumi, 2008) を引用する人が未だに後を絶たないのは誠に遺憾である。故意か過失かは不明だが、文献を引用しない輩も多数いる。嘆かわしい限りだ。

なお、VESTA 開発の中心人物である門馬綱一君は、このほど「結晶構造・電子/核密度・結晶外形等の三次元可視化システムの開発と鉱物学への応用」という業績により日本鉱物科学会の応用鉱物科学賞を受賞した。VESTA 関連では、すでに坂根弦太、門馬綱一、泉 富士夫が「DV-Xα法計算支援環境、教育用分子軌道計算システム eduDV、三次元可視化システム VESTA の開発と普及活動」という業績題目で DV-Xα 研究協会功績賞(2008年)も受賞している。VESTA の性能と有効性は学会からも高い評価を得ていると言ってよかろう。
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