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HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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PANalytical 粉末X線回折セミナーでの特別講演
昨年から特別顧問を務めているスペクトリス株式会社 PANalytical 事業部主催のセミナーで RIETAN-FP に関する特別講演を2回行うよう依頼されました:

PANalytical 粉末X線回折セミナー

2015年5月22日(金): WTC コンファレンスセンター(東京、浜松町)
2015年5月26日(火): 千里ライフサイエンスセンター(大阪、千里中央)

泉 富士夫「外部プログラムとの連携を補強した RIETAN-FP v2.6」


これは第7回結晶性萌芽材料 粉末回折研究会(昨年12月15日)とシンクロトロン光利用者研究会(3月5日)での講演を合体し洗練させたものに他なりません。すなわち、昨年暮れにリリースした RIETAN-FP v2.5 と近日中に公開する v2.6(注: 4月21日にリリース)に盛り込んだ機能について語ります。昨年秋以降に猛スピードで開発した新バージョンに焦点を絞るという意表を突いた内容には、参加者も度肝を抜かれることでしょう。短時日の内によくぞここまで前進したものだと自画自賛しています。主として名工大の学生を相手に最新成果を披露する機会に恵まれたことが、日々の苦役に疲弊した自分の背中を押してくれました。

講演タイトル中の「外部プログラム」は ALBA, EXPO, superflip, EDMA, Dysnomia, gnuplot を指しています。ALBA を用いて最大エントロピー・パターソン (MEP) 法で重畳反射の積分強度を改良すれば、EXPO や superflip による構造モデルの構築が容易になることが期待できます。EXPO については昨年の PANalytical セミナーで言及したので、今年は主に superflip によるチャージ・フリッピング解析の例と勘所を示します。RIETAN-FP は superflip の入力ファイル hoge.inflip を出力してくれるので、ハイブリッド・パターン分解 (+MEP 解析) を実行し、必要に応じて hoge.inflip を修正した後、すみやかにチャージ・フリッピングへと移行できます。

v2.6の目玉である gnuplot を活用した結晶子サイズとミクロ歪みの評価は Bragg–Brentano 型粉末X線回折装置の利用価値を高めるテクニックなので、PANalytical 主催のセミナーにうってつけのトピックスです。PDF ファイルに出力した Williamson–Hall・Halder–Wagner プロットの表示を通じ視覚に強く訴える上、異方的ブロードニングも一目で認識できます。リートベルト・Le Bail 解析で精密化したプロファイル・パラメーターは互いに相関が強いので、それらから結晶子サイズとミクロ歪みを求めるのは原理的に不健全だとみなしています。

粉末X線回折による微細構造のキャラクタリゼーションは種々の多結晶材料にもっと広く応用されて然るべきではないでしょうか。種々の材料の物性や化学的性質を理解しようとする際、結晶構造ばかりに注目するのは片手落ちです。特筆大書したいのが Williamson–Hall と Halder–Wagner プロットに関する充実したドキュメンテーション(RIETAN-FP_manual.pdf, Chap. 13)の提供です。名工大 先進セラミックス研究センター年報の原稿に加筆したものですが、今後これらの解析に取り組もうと意気込んでいる人達から、明快で平易な解説として大歓迎されるに違いありません。さらに、上記機能と関連して「Williamson–Hall と Halder–Wagner プロットを好みに応じて変更する方法」と題するエントリー(4月25日)をブログに投稿しましたので、興味のある方はお読みください。

この他、福田功一郎先生の特別講演「X線粉末回折法によるセラミックス材料の解析 ― 未知構造解析から結晶相の定量分析まで ―」や弊社スタッフによる粉末X線関連製品の紹介も含む盛り沢山な内容となっております。粉末X線回折に関する見聞を広めるのには格好の催しです。

福田先生はチャージ・フリッピングによる構造モデル構築についてお話になります。その際に RIETAN-FP v2.5 による hoge.inflip の自動作成が直接役立つはずです。今やチャージ・フリッピングは全盛時代を迎えつつありますが、X線回折専用という点が MEM/MPF による電子密度解析と共通しています。定評と実績のある無料ソフトウェア群 (superflip, RIETAN-FP, Dysnomia, MPF_multi, VESTA) が完備した今、Empyrean のような市販の粉末X線回折装置さえあれば存分に駆使できる秀逸な技法が金食い虫の中性子回折を蚊帳の外に追いやっているのは、なんと痛快かつ皮肉な現実ではありませんか。

今回は、昼食時に講師に質問するという異例の企画を立てました。また、参加者には Windows 版 RIETAN-FP・VENUS システム用のユーティリティー make_commands.bat を差し上げます。RIETAN-FP の入力ファイル(たとえば hoge.ins)を make_commands.bat にドラッグ&ドロップすれば、8つのバッチファイル(RIETAN.bat, Plot.bat, ORFFE.bat, lst2cif.bat, Superflip.bat, EDMA.bat, MSCS.bat, B2beta.bat)をサブフォルダーに生成してくれます。大所帯の組織で珍重されること、請け合いです。
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