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HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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東工大で粉末構造解析の無料講習会を開催!
昨年、日本金属学会会報「まてりあ」に掲載した入門講座「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」は次のように締めくくられています。
紙面の限られた本講座に加え書籍、レビュー、マニュアルなども読み、いくら講演や講義を聴講したところで、高度な解析技術がおのずと身に付くわけではない。粉末回折に限った話でないが、活字や一方通行の講義を通じて学んだ知識はなかなか血肉と化さないのである。

筆者は人材育成事業の短期講習や自主開催している無料講習会では、講義よりはむしろ PC を使う実習を重視している。実習の目的が座学の補完なのは言うまでもない。 RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムを自らインストールした後、それらを順次実行していき、実戦経験を積むことにより粉末構造解析についての土地勘を養う。ハンズオンで使用するプログラムはかなり多く、しかも目まぐるしく変わるため、必要に応じてメモをとるのも煩わしい。そこで実習の円滑な進行を図るとともに、その内容に遺漏がないように Windows・macOS 上での操作手順を100ペ ージ超にわたり懇切丁寧に記述したチュートリアルをインストーラーに同梱している。後日、印刷したチュートリアルを眺めながら、復習するのにもすこぶる役立つ。

チュートリアル中には近年筆者が書きためてきたブログ・エントリーや Evernote の公開ノートへのリンクが多数張られているため、貴重な付加的情報も得られる。この文書の入手だけでも収穫が大きいので、実習付き講習会への参加を強く勧めたい。要請さえあれば、喜んで大学などに無料講習会を出前する用意がある。

多種多様なプログラムからなるインストーラー、計700ページになんなんとする RIETAN-FP・VENUS システムのマニュアル、チュートリアルが渾然一体となった巨大コンテン ツを通じて多くの方々が粉末構造解析に関する知識と経験を深め、種々の材料に応用し、有用な成果を得たならば、これに過ぎる喜びはない。本入門講座はその当該コンテンツの一部として、単なる連載記事を超越した存在となることを願いつつ執筆したことを最後に申し添えておく。

「自主開催している無料講習会」とは、2015年10月以来、龍谷大学岡山大学神戸大学京都大学九州大学JFCCJFCC(アンコール)で開催してきたワンマン講習会「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」を指しています。

このたび、東京工業大学で9月24・25日に同講習会を催すことが決まりました(9月24日は振替休日)。二日間にわたる講義+ハンズオンの独演会を東京で開催するのは初めてです。首都圏在住の方々に歓迎されるに違いありません。


 「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」講習会  

日時: 2018 年 9 月 24 日(月)・25 日(火)

会場: 東京工業大学 大岡山キャンパス レクチャーシアター地図

共催: 科学技術人材育成費補助事業 Nanotech CUPAL



レクチャーシアター(西5号館3階)は階段座席なのでスクリーンがすこぶる見やすく、座席数が245席に達するため適度に空席を介在した状態で快適にご聴講頂けます。過去の実績を高く評価して頂き、このような素晴らしい会場を提供して下さった東工大に厚く御礼申し上げます。東工大は Nanotech CUPAL アライアンス の B 機関(研究者等派遣機関)なので、私が昨年度まで講師を務めていた Nanotech CUPAL との共催とし、遅ればせながらその「卒業式」に換えます。

1) プログラム

9月24日、13:30〜17:00
講義「粉末回折データの解析技術 — リートベルト法」
講義「粉末回折データの解析技術 — パターン分解、未知構造解析、MEM」

9月25日、9:30〜12:00(昼食)13:00〜17:00
・Windows 機を用いる実習

休憩は臨機応変のタイミングで入れます。

2) 定員

120名(先着順)

3) 参加費

無料

4) 世話人

東京工業大学 理学院 化学系
河野正規教授

5) 参加登録

下記の情報を明記の上、okiyama.s.aa@m.titech.ac.jp(沖山)宛にメールをお送りください。

1. 氏名
2. 所属
3. E メールアドレス
4. 下記4つのどれかに該当する方は身分を明記
    博士課程学生
    修士課程学生
    学部学生
    任期付き研究者(ポスドク)

本講習会は粉末構造解析・三次元可視化システム RIETAN-FP・VENUS システムなどを利用した構造解析技術に関する講義と実習からなっています。講義には百数十枚のスライドを使いますが、カラー印刷の経費と手間を省くため、参加者には上述の講義に使う二つの PDF ファイルを当日までに差し上げます。

実習用に64ビット Windows 機(OS: Windows 7以降)と印刷済みのチュートリアル(下記)を各自ご持参ください。事前に
をインストールしておくようお願いします。秀丸エディタはシェアウェアです。試用期間は2週間で、経済的に困窮している学生にはフリー制度があります。一方、Sumatra PDF はフリーソフトウェアです。

インストーラーにはチュートリアル「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」(77ページ)が同梱されているため、実習内容の予習と復習は容易です。充実したチュートリアルを提供する実習の重要性についてはブログエントリー「最新版 RIETAN-FP・VENUS システムのお披露目を兼ねた講習会」の冒頭で力説したので、ご一読ください。実習内容が逐一記述されているチュートリア抜きでは、サポート・スタッフ抜きの実習と後日の復習は困難です。

さらに4種類の副読本(6つの PDF ファイル)も付録として添付します。JFCC で10月23・24日に開催する VESTA の講習会用に執筆した「RIETAN-FP–VESTA 間の連携による三次元可視化とファイル変換」と題する文書(24ページ)は両ソフトのユーザーに歓迎されると確信しています。同文書の14ページを下に示します。


今回の実習に使う OS は需要が旺盛な Windows のみに絞りました。Windows ユーザーにとって、5月の講習会の時に比べ実習時間が2倍になるというメリットがあります。 macOS 用のインストーラーも配付するので、Mac ユーザーには初日だけ参加するという選択肢があります。懇切丁寧な macOS 用チュートリアル(69ページ)を手に取りながら自習するのは、さほど難しくありません。

実習では、UNIX コマンドの集合体 BusyBox「BusyBox に魅せられて」参照)と互換性のあるシェルスクリプトを含む新世代の RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境上で種々の秀丸マクロを実行します。BusyBox はスマホ、テレビ、オーディオ、ルーター、小型サーバーなどにおける組み込み UNIX の活用に役立っています。 JFCC での講習会に先立ち、前世代の Windows 用支援環境に含まれていたバッチファイルをすべて bash スクリプト *.command に置き換えるとともに、GnuWin32の UNIX系 コマンドと Onigsed を追放しました。今では RIETAN_VENUS¥Commands フォルダーに26個もの bash スクリプトが存在しています。(下図)。


とりわけ苦労したのがリートベルト解析の英文報告書を「和訳」する E2J.command です。長時間を費やした末、 Shift_JIS のダメ文字をストリームエディター sed で正常に処理するのに見事成功しました。宿年の悲願だったコマンドプロンプトからの脱却と macOS 版と同レベルへの進化を果たしたのは嬉しい限りです。

体験学習には RIETAN-FP v2.88, gnuplot, WinPLOTR, DICVOL, ORFFE, lst2cif, xdc, cif2ins, combins, sda.command, ALBA, superflip, EDMA, FOX, MPF_multi.command+Dysnomia, VESTA などを使います。上記のソフトウェア群は
  1. ピークサーチ
  2. 指数づけ
  3. バックグラウンドの決定
  4. リートベルト解析
  5. 多相リートベルト解析用入力ファイルの自動作成
  6. sed を活用した逐次リートベルト解析
  7. パターン分解
  8. 最大エントロピー・パターソン解析
  9. 未知構造モデルの構築: 双対空間法とレプリカ交換法
  10. MPF (MEM-based Pattern Fitting) 解析(下図)
  11. 結晶構造と電子密度分布の三次元可視化
といった広大な領域を網羅しています。リートベルト解析は one of them に過ぎません。ただし時間の都合上、一部のプログラムは臨機応変にスキップする可能性が大です。といっても、上述のように実習内容はチュートリアルに詳述しましたから、受講者は後日ゆっくり自習できます。
放射光粉末回折データの MPF 解析で決定した cimetidine の電子密度分布。等値曲面レベル: 1.11 Å-3

中でも cif2ins と未公開ユーティリティー combins の連携プレーは注目に値します。cif2ins は CIF 中の結晶データをひな形ファイル template.ins に導入することにより RIETAN-FP 用入力ファイル *.ins に変換します。一方、combins は複数の *.ins から多相解析用入力ファイル multi_phase.ins を自動生成します。multi_phase.ins を改名し、必要に応じて中身を編集してからリートベルト解析に移行します。

sed を活用したシェルスクリプト sda.command による逐次リートベルト解析の自動化は、他に類を見ない独創的な技術です。代表的な UNIX ツールである sed が BusyBox に含まれているのは言うまでもありません。複数箇所の文字列置換が可能で、もちろん正規表現も使えます。sda.command は温度、圧力、化学組成、雰囲気などを変化させて測定した一連の強度データの自動解析で真骨頂を発揮します。今回の実習では、sda.command を
  • BaSO4 の粉末X線回折データのリートベルト解析における選択配向ベクトルの決定
  • 室温から640 Kの間で測定した Sr3Zr2O7 の放射光粉末回折データ(9点)の逐次リートベルト解析
に応用します。

RIETAN-FP v2.88 はリートベルト解析途上の結晶データを含む VESTA 形式ファイルを逐次生成できます。非対称単位内の原子数が多い配位ネットワーク錯体やゼオライトなどのリートべルト解析において構造精密化の進捗状況と妥当性を VESTA で検証するのに役立ちます。

比較的時間のかかる計算中に、訴求効果の高いデモンストレーションとして
を実演します。両者を実習から外すのは TeX LiveMiniconda3 がかなり大きなディスクスペースを占めるためです。ただしチュートリアルを参照すれば、TeX Live と Miniconda3 は容易にインストールできます。

一連の無料講習会の間にも、ソフトウェアと教材はゆっくりではあるものの着実に進歩しています。RIETAN-FP v2.88 はリートベルト解析途上の結晶データを含む VESTA 形式ファイル *.vesta を逐次生成できます。非対称単位内の原子数が多い配位ネットワーク錯体やゼオライトなどのリートべルト解析において構造精密化の進捗状況と妥当性を VESTA で検証するのに役立ちます。新作マクロ intramol と変換リストによる連続置換マクロ ListReplace.mac(二つの変換リストファイル cif_PDF-4+.txt と cif4MedeA.txt を含む)も追加しました。さらに、チュートリアル中の「可動イオンの拡散経路の可視化」の部分を加筆修正し、BVS・BVEL 法に関する重要な情報を提供できるようにしました。過去の講習会の参加者が再受講されても、それなりの意義があるはずです。奮ってご参加ください。

なお大学、研究機関、民間企業の別を問わず、同様な講習会の開催依頼は随時受け付けておりますので、遠慮なく声を掛けてください。研究室や社内を対象とする非公開の講習会でも、喜んで引き受けます。
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