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HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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JFCC で粉末構造解析の無料講習会をアンコール開催!
2015年10月以来、龍谷大学岡山大学神戸大学京都大学九州大学ファインセラミックスセンター(JFCC、名古屋)に「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」と題するワンマン講習会を出前してきました。講義だけでお茶を濁すのでなく、PC を使うハンズオン(人に教わりながらの体験学習)に重点を置いているのが特徴です。

JFCC で本年5月7・8日に開催した第22回材料計算セミナーの定員は当初60名でしたが、私のホームページ、ブログ、Twitter で宣伝し始めるやいなや参加登録者が破竹の勢いで増え続けました。会告が渾身の力作だったことが主因でしょう。そこで A (講義) と B (Windows での実習) の定員をそれぞれ90名と65名に増やしました。実習の定員が少ないのは充電用コンセントの数がやや少なかったためです。ところが JFCC のホームページに会告が掲示される前日の4月2日にいずれも満席となり、早々と参加登録を締め切る羽目に陥ってしまいました。

私は JFCC に着任後の初仕事が空前の成功を収めたことだけで十分満足しましたが、主催者からは「かなり多くの人達が参加できなかったのは残念なので、材料計算セミナーを再度開催してもらえませんか」と要請されました。私は常日頃からイベントへの協力依頼は四の五の言わずに引き受けるよう心がけています。前代未聞のアンコール講習会を8月に開催すると決断しました。旺盛な需要に応えないようでは、出前請負人たる私の存在意義が薄れかねません。


第 24 回 ナノ構造研究所 材料計算セミナー

   RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析   

日時: 2018 年 8 月 7 日(火)・8 日(水)
会場: ファインセラミックスセンター地図


共催: 文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究「複合アニオン化合物の創製と新機能」


下記のように、実習用 OS を Windows だけに絞った結果、第22回材料計算セミナーに比べ Windows 機による実習の時間が2倍に増えました。一般に公開している RIETAN-FP v2.83 を最新版 v2.88 に更新でき、非公開のマクロが手に入るというメリットもあります。

1) 講師

泉 富士夫(JFCC 客員研究員)

2) プログラム

8月7日(火)、13:30〜17:00
講義「粉末回折データの解析技術 — リートベルト法」
講義「粉末回折データの解析技術 — パターン分解、未知構造解析、MEM」

8月8日(水)、9:30〜12:00(昼食)13:00〜17:00
・64ビット Windows 機を用いる実習

一日だけの参加も可能です。登録時に参加日を申し出てください。64ビット Windows 機を持ち合わせていない方は初日だけ聴講するという手があります。

3) 定員

60名(先着順)

4) 参加費

無料

5) 参加登録

JFCC の HP に掲示された会告をご覧ください。

本講習会は粉末構造解析・三次元可視化システム RIETAN-FP・VENUS システムなどを利用した構造解析技術に関する講義と実習からなっています。講義には百数十枚のスライドを使いますが、カラー印刷の経費と手間を省くため、参加者には講義に使う二つの PDF ファイルを当日までに差し上げます。

実習用に64ビット Windows 機(OS: Windows 7以降)と印刷済みのチュートリアル(下記)を各自ご持参ください。事前に
をインストールしておくようお願いします。秀丸エディタはシェアウェアです。試用期間は2週間で、経済的に困窮している学生にはフリー制度があります。一方、Sumatra PDF はフリーソフトウェアです。

インストーラーにはチュートリアル「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」(76ページ)が同梱されているため、実習内容の予習と復習は容易です。充実したチュートリアルを提供する実習の重要性についてはブログエントリー「最新版 RIETAN-FP・VENUS システムのお披露目を兼ねた講習会」の冒頭で力説したので、ご一読ください。実習内容が逐一記述されているチュートリア抜きでは、後日の復習は困難です。

さらに4種類の副読本(6つの PDF ファイル)も付録として添付します。JFCC で10月23・24日に開催する VESTA の講習会用に執筆した「RIETAN-FP–VESTA 間の連携による三次元可視化とファイル変換」と題する文書(23ページ)は、両ソフトのユーザーに歓迎されると確信しています。その目次は以下の通りです。


上述のように、今回の実習に使う OS は需要が旺盛な Windows のみに絞りました。Windows ユーザーにとって、5月の講習会の時に比べ実習時間が2倍になるというメリットがあります。 macOS 用のインストーラーも全員に配付するので、Mac ユーザーには初日だけ参加するという選択肢があります。懇切丁寧な macOS 用チュートリアル(69ページ)を手に取りながら自習するのは、さほど難しくありません。

実習では、UNIX コマンドの集合体 BusyBox「BusyBox に魅せられて」参照)と互換性のあるシェルスクリプトを含む新世代の RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境上で種々の秀丸マクロを実行します。BusyBox はスマホ、テレビ、オーディオ、ルーター、小型サーバーなどにおける組み込み UNIX の活用に役立っています。 JFCC での講習会に先立ち、前世代の Windows 用支援環境に含まれていた22ものバッチファイルを bash スクリプトに置き換えるとともに、GnuWin32の UNIX 系コマンドと onigsed を追放しました。とりわけ苦労したのがリートベルト解析の英文報告書を「和訳」する E2J.command です。 Shift_JIS のダメ文字をストリームエディター sed で処理するノウハウの会得に腐心しました。その結果、宿年の悲願だったコマンドプロンプトからの脱却と macOS 版と同レベルへの進化を果たしたのは、嬉しい限りです。

体験学習には RIETAN-FP の最新版 v2.88, gnuplot, Sumatra PDF, WinPLOTR, DICVOL, ORFFE, lst2cif, xdc, cif2ins, combins, sda.command, ALBA, superflip, EDMA, FOX, MPF_multi.command+Dysnomia, VESTA などを使います。上記のソフトウェア群は
  1. ピークサーチ
  2. 指数づけ
  3. バックグラウンドの決定
  4. リートベルト解析
  5. 多相リートベルト解析用入力ファイルの自動作成
  6. sed を活用した逐次リートベルト解析
  7. パターン分解
  8. 最大エントロピー・パターソン解析
  9. 未知構造モデルの構築: 双対空間法とレプリカ交換法
  10. MPF (MEM-based Pattern Fitting) 解析
  11. 結晶構造と電子密度分布の三次元可視化
といった広大な領域を網羅しています。リートベルト解析は one of them に過ぎません。ただし時間の都合上、一部のプログラムは臨機応変にスキップする可能性が大です。といっても、上述のように実習内容はチュートリアルに詳述しましたから、受講者は後日ゆっくり自習できます。

中でも cif2ins と未公開ユーティリティー combins の連携プレーは注目に値します。cif2ins は CIF 中の結晶データをひな形ファイル template.ins に導入することにより RIETAN-FP 用入力ファイル *.ins に変換します。一方、combins は複数の *.ins から多相解析用入力ファイル multi_phase.ins を自動生成します。multi_phase.ins を改名し、必要に応じて中身を編集してからリートベルト解析に移行します。

sed を活用したシェルスクリプト sda.command による逐次リートベルト解析の自動化は、他に類を見ない独創的な技術です。代表的な UNIX ツールである sed が BusyBox に含まれているのは言うまでもありません。複数箇所の文字列置換が可能で、正規表現も使えます。sda.command は温度、圧力、化学組成、雰囲気などを変化させて測定した一連の強度データの自動解析で真骨頂を発揮します。今回の実習では、sda.command を
  • BaSO4 の粉末X線回折データのリートベルト解析における選択配向ベクトルの決定
  • 室温から640 Kの間で測定した Sr3Zr2O7 の放射光粉末回折データ(9点)の逐次リートベルト解析
に応用します。

比較的時間のかかる計算中に、訴求効果の高いデモンストレーションとして
を実演します。両者を実習から外すのは TeX LiveMiniconda3 がかなり大きなディスクスペースを占めるためです。ただしチュートリアルを参照すれば、TeX Live と Miniconda3 は容易にインストールできます。


Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2 における BVEL の三次元分布。等値曲面レベル: −2.5 eV。
9個の単位胞を作画した。緑、三色、赤の球はそれぞれLi, (Ni1/3Mn1/3Co1/3), O を示す。

前回の講習会と比べると、ソフトウェアと教材はゆっくりではあるものの着実に進歩しています。RIETAN-FP v2.88 はリートベルト解析途上の結晶データを含む VESTA 形式ファイル *.vesta を逐次生成できます。非対称単位内の原子数が多い配位ネットワーク錯体やゼオライトなどのリートべルト解析において構造精密化の進捗状況と妥当性を VESTA で検証するのに役立ちます。新たなマクロ intramol も追加しました。さらに、チュートリアル中の「可動イオンの拡散経路の可視化」の部分を加筆修正し、BVS・BVEL 法に関する重要な情報を提供できるようにしました。過去の講習会の参加者が再受講されても、それなりの意義があるはずです。奮ってご参加ください。
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