お知らせ+活動記録+たわごと

HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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無期延期となった東北初の粉末構造解析講習会
東北大学で2020年3月5・6日に開催する予定だった第14回「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」講習会は、COVID-19の感染拡大と満席に近づきつつある集客状況を勘案し、無期延期とせざるを得なかった。

新型コロナウイルスがもたらした惨禍を前にして呆然と立ちすくんでいるのは、我慢ならなかった。ハンズオン用チュートリアルが懇切丁寧な上、Evernote ノートや多くの Web ページへのリンクが多数張られているため、上記講習会の教材は自習に適している。外出自粛要請により自宅に籠もらざるを得なくなった方々が在宅で学習するのに役立つに違いない。そこで開催延期の埋め合わせとして、特設 Web サイトを開設し、(a) 参加登録者と (b) 過去の講習会参加者に東北大講習会用に製作したコンテンツ(講義用スライドの PDF ファイル、4つの解説、CIF に関する資料、Windows・macOS 用インストーラー)を無償で世に送り出すことにした。スイス人学生(参加登録者)の要請に応え、英語によるハンズオンで使った英文スライド(計151枚)まで公開した。総容量は600 MB に及ぶ。インストーラーが RIETAN-FP の最新版 v3.01 を含んでいることを特筆しておく。メールとダイレクト・メッセージを通じ、約50名の配付希望者 (b) に独力で対応した。

最終的に (a) と (b) の合計は123人に達した。これまで最も多くの参加者を集めた九州大学講習会の34 %増しという想定外の人数であり、粉末構造解析技術の普及に貢献できたのは明らかである。かくして開催延期がもたらした意気阻喪を補って余りあるほど士気が高まった。疫病の蔓延という未曾有の災厄に真っ向から立ち向かい、前代未聞の献身的サービスにより実質的に克服したことを誇りに思う。


これまで13回催した無料講習会の波及効果を調べるために、RIETAN-FP/2000に関する論文2報の年間被引用数を gnuplot でグラフ化してみた(上図)。2013年までのデータ(Web of Science 調べ)は「RIETAN vs. Z-Rietveld」でも見られる。多少の増減はあるものの、両論文の被引用数は2014年以降も堅調であり、2019年には259という最高記録を達成した。今や RIETAN は全盛時代を迎えたといって過言でない。

RIETAN がこのような輝かしい実績を挙げてきた理由としては、次の6点、
  1. 軽量かつ俊敏であり、非力な PC でも快適に動作する。
  2. 長年にわたり研究・開発の現場で使い込まれてきた結果、充分枯れている。
  3. 詳細な英文マニュアルの提供に加え、ロングセラーとなっている「粉末X線解析の実際」(朝倉書店)や多くの解説などの豊富な日本語情報が読める。
  4. 歴史的経緯から、世界的な名声を博している三次元可視化システム VESTA と密接に連携している。
  5. 厳密解が得られる唯一の無料 MEM 解析プログラム Dysnomia をエンジンとする MPF (MEM-based Pattern Fitting) が可能。
  6. 日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」と無料講習会「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」を13回ずつ開催し、多数の参加者を集め好評を博した。
が挙げられる。これだけの強みを持ち合わせている RIETAN-FP の人気が衰えていくとは思えない。RIETAN-FP・VENUS システムは今後も長く利用され、多種多様な研究に貢献し続けると確信している。



本ブログに掲示した会告を以下に参考資料として残しておく。

2015年10月以来、独演講習会「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」を計13回開催し、好評を博してきた。会場を提供して頂く大学には旅費・謝礼の支払いを求めない社会貢献活動である。その目的、内容、実績については、第6回第10回の会告の冒頭に記した。一方通行の座学だけでお茶を濁すのは避け、RIETAN-FP v3.0や外部プログラムを含むインストーラー(VESTA 講習会、二日目午後の実習にも利用)と詳細なチュートリアルを配付する実習に力点を置く。「RIETAN-FP・VENUS システム配布ファイル」に同梱しているのは RIETAN-FP v2.83 なので、 未公開の最新版が手に入るのは耳寄りな話だろう。

今年度からインストーラーに同梱している計1656行の超弩級 bash スクリプト cifconv+supercell のマニュアルと VESTA 講習会用チュートリアルを含めると、参加者限定で配付する文書は計256ページに達する。講義に使う全スライドの PDF ファイルとともに貴重な情報源として活用できよう。

本講習会では Nanotech CUPAL 入門コース用教材を再利用するが、私が全国各地を訪問することにより同コースに比べ一桁上の参加者を引き寄せてきた。今年は北海道大学長崎大学山梨大学に講習会を出前した。次回は2020年3月に東北大学で催す。北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州をすべて訪れ、巨大コンテンツを無償で提供・披露するという実績を挙げられたのは快挙といって過言でない。

実習には64ビット Windows PCを各自持参して頂くが、Mac ユーザーが自習できるように macOS 用のインストーラーとチュートリアルも配付する。一般には配付していない Jedit Ω 用 RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境が手に入る。macOS 10.15 Catalina では32ビット・アプリケーションが実行できなくなったので、superflip と EDMA は64ビット版に入れ換える。講義だけ、実習だけの受講も認める。Windows 機を持ち合わせていない方は初日だけ聴講するという選択肢もある。定員に達し次第、受講受付を締め切るため、早めの参加登録を奨める。

第14回「RIETAN-FP・VENUS システムと外部プログラムによる粉末構造解析」講習会

これまで、本講習会を出前してほしいというオファーはえり好みせずに受け入れてきた。15回目の訪問先はすでに内定している。研究資金の「選択と集中」がもたらした深刻な経済格差と研究・教育環境の地域間偏りを少しでも是正するには、老骨に鞭打って日本全国に足を運ばねばならぬ。出前を所望される方は、遠慮なく私に要請して頂きたい。未開催の大学はとりわけ歓迎する。
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