RIETAN-FP v2.1をついに公開!
RIETAN-FP v2.1とそれに対応したマニュアルを含む Windows・Mac OS X 用 RIETAN-FP・VENUS 配布ファイルを公開しました。プログラム自体はかなり前に完成していたのですが、近ごろは殊のほか雑用が多かった上、体調も今一つ芳しくなかったため、リリースが遅れました。
v2.1では異方的ミクロ歪み(anisotropic microstrain)によるプロファイルの拡がりを表現するための半経験式 (Stephens, 1999) を Thompson, Cox, Hastings の擬フォークト関数中に導入しました。ガウス成分とローレンツ成分の半値幅を計算するための式は Stephens の論文に記載されている式と異なっています。RIETAN-FP で採用した式の方が適切なことは、本人に確認済みです。詳しくは RIETAN-FP_manual.pdf 中の3.8.3, Appendix D, Tables S-5 & S-6,「多目的パターンフィッティング・システム RIETAN-FP の新機能について」の7節をお読みください。
たとえば、有機化合物は異方的な歪みをもつ物質が多いようです。今回実装した機能が活用できるケースはかなり多いと予想されます。
余談ですが、Stephens 教授にはブルックヘブン国立研の NSLS (National Synchrotron Light Source) と SPring-8で二回お会いしたことがあります。一時、東北大に留学されていたそうで、そのときのエピソードもお聞きましたが、ここに記すのは控えておきます。
今回の配付ファイルには上記新機能を利用した解析例が含まれていませんが、異方的ミクロ歪みに関係する新プロファイル・パラメーター16個(ローレンツ分率 ζ と15個の Shkl)がすべての *.ins 中にダミーデータとして複数の箇所に挿入されています。異方的拡がり Γa はあくまで半値幅の微調整に効くだけなので、一般に Shkl は非常に小さな値に収束するということをご承知ください。
従来のひな形ファイル *.ins は v2.1には通用しません。v2.1では新しいひな形ファイルを使う必要があります。新機能を活用した解析例は、近日中に追加配付する予定です。*.ins 中のプロファイル・パラメーターがかなり増えたので、段階的に進んで行くことにしました。
古いひな形ファイルを利用すると、たとえば次のようなエラーメッセージが出力され、RIETAN-FP が終了します。
この機能は RIETAN-FP の開発が始まった当初から、それに組み込むつもりでいました。その実装がこれほど遅延したのは、既存の分割型プロファイル関数でのフィットが十分良好で満足し切っていたこと、結晶子サイズに起因する異方的なプロファイル拡がりには対応していないこと、ベーパーウェアとして蒸発した RIETAN-FP の後継ソフトへの実装に一縷の望みを託していたこと(大甘!)に起因しています。何を言っても弁解になりますが・・・
さらに、混合物の定量分析において microabsorption を補正する際に仮想的な化学種を使用していたならば、RIETAN-FP が警告を発して終了するよう改善しました。固溶体を含む多相試料のリートベルト解析用のフェイルセーフです。さらに、Mac OS X 用の RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境では、RIETAN-FP 実行時に *.ins を同一フォルダ中の *.bak にバックアップするよう改良しました。Windows 用の支援環境の方はすでにそうなっていましたが、Mac OS X 版ではうっかり忘れていたようです。
大分前から Mac OS X 用 RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境でキーボード・ショートカットが無効になるという障害に悩まされています。Jedit X の不具合なのでしょうか。Lion 対応の Menu Master のリリースを切望しています。
最後に一言、今回のように英語と日本語のマニュアルを相次いで TeXShop で組版する際には、「Mac 用 TeX による英文・和文のタイプセット」の最後に記した英語・日本語モード切替用シェルスクリプトが大変有用です。一度この迅速さを味わうと、もう止められません。
v2.1では異方的ミクロ歪み(anisotropic microstrain)によるプロファイルの拡がりを表現するための半経験式 (Stephens, 1999) を Thompson, Cox, Hastings の擬フォークト関数中に導入しました。ガウス成分とローレンツ成分の半値幅を計算するための式は Stephens の論文に記載されている式と異なっています。RIETAN-FP で採用した式の方が適切なことは、本人に確認済みです。詳しくは RIETAN-FP_manual.pdf 中の3.8.3, Appendix D, Tables S-5 & S-6,「多目的パターンフィッティング・システム RIETAN-FP の新機能について」の7節をお読みください。
たとえば、有機化合物は異方的な歪みをもつ物質が多いようです。今回実装した機能が活用できるケースはかなり多いと予想されます。
余談ですが、Stephens 教授にはブルックヘブン国立研の NSLS (National Synchrotron Light Source) と SPring-8で二回お会いしたことがあります。一時、東北大に留学されていたそうで、そのときのエピソードもお聞きましたが、ここに記すのは控えておきます。
今回の配付ファイルには上記新機能を利用した解析例が含まれていませんが、異方的ミクロ歪みに関係する新プロファイル・パラメーター16個(ローレンツ分率 ζ と15個の Shkl)がすべての *.ins 中にダミーデータとして複数の箇所に挿入されています。異方的拡がり Γa はあくまで半値幅の微調整に効くだけなので、一般に Shkl は非常に小さな値に収束するということをご承知ください。
従来のひな形ファイル *.ins は v2.1には通用しません。v2.1では新しいひな形ファイルを使う必要があります。新機能を活用した解析例は、近日中に追加配付する予定です。*.ins 中のプロファイル・パラメーターがかなり増えたので、段階的に進んで行くことにしました。
古いひな形ファイルを利用すると、たとえば次のようなエラーメッセージが出力され、RIETAN-FP が終了します。
The number of parameters, A(I), input is 58,58 + 16 = 74 なので、上記16個のプロファイル・パラメーターをダミーとして追加する必要があることがわかります。
which is expected to be 74.
この機能は RIETAN-FP の開発が始まった当初から、それに組み込むつもりでいました。その実装がこれほど遅延したのは、既存の分割型プロファイル関数でのフィットが十分良好で満足し切っていたこと、結晶子サイズに起因する異方的なプロファイル拡がりには対応していないこと、ベーパーウェアとして蒸発した RIETAN-FP の後継ソフトへの実装に一縷の望みを託していたこと(大甘!)に起因しています。何を言っても弁解になりますが・・・
さらに、混合物の定量分析において microabsorption を補正する際に仮想的な化学種を使用していたならば、RIETAN-FP が警告を発して終了するよう改善しました。固溶体を含む多相試料のリートベルト解析用のフェイルセーフです。さらに、Mac OS X 用の RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境では、RIETAN-FP 実行時に *.ins を同一フォルダ中の *.bak にバックアップするよう改良しました。Windows 用の支援環境の方はすでにそうなっていましたが、Mac OS X 版ではうっかり忘れていたようです。
大分前から Mac OS X 用 RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境でキーボード・ショートカットが無効になるという障害に悩まされています。Jedit X の不具合なのでしょうか。Lion 対応の Menu Master のリリースを切望しています。
最後に一言、今回のように英語と日本語のマニュアルを相次いで TeXShop で組版する際には、「Mac 用 TeX による英文・和文のタイプセット」の最後に記した英語・日本語モード切替用シェルスクリプトが大変有用です。一度この迅速さを味わうと、もう止められません。