お知らせ+活動記録+たわごと

HP と Twitter を補完するとともに、互いの密接な連携を図るため、本ブログを開設した。三位一体を目指す。情報提供、広報活動、教育・啓蒙活動の一環として、肩の力を抜き、冗長性を廃し、簡にして要を得た文章を書くよう心がける。
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Nanotech CUPAL の発足
文部科学省・科学技術人材育成費補助事業「科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業」の次世代研究者育成プログラムの一つとして「ナノテク キャリアアップ アライアンス」(Nanotech Career-up Alliance: Nanotech CUPAL)が選定されました。この事業は「つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)」「ナノテクノロジーハブ拠点」を活用し、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構、高エネルギー加速器研究機構、京都大学のスタッフやゲスト研究者がイノベーションの創出に資するものづくりを担う人材 Nanotech Innovation Professional (NIP) の育成を目指します。物質・材料研究機構は Nanotech CUPAL に共同実施機関として参加しています。

Nanotech CUPAL の活動の一環として、物質・材料研究機構は2015年3月以降「先端計測技術入門コース」を年4回程度催すことになりました。私はゲスト講師とともに構造解析コース(粉末X線・中性子回折)の講義と実習を二日間担当します。実習には RIETAN-FP・VENUS システムを用います。今後、「先端計測技術入門コース」が開催されるたびに粉末回折情報館に会告を掲示いたします。

Nanotech CUPAL コンソーシアムの構成機関、すなわち
  • 産業技術総合研究所(代表機関)
  • 物質・材料研究機構
  • 高エネルギー加速器研究機構
  • 筑波大学
  • 京都大学
  • 北海道大学
  • 東京大学
  • 東京工業大学
  • 東京理科大学
  • 早稲田大学
  • 京都工芸繊維大学
  • 大阪大学
  • 神戸大学
  • 立命館大学
  • 同志社大学
に所属する
  • 博士号取得後10年以内または同等程度の研究経歴をもつ若手研究者
  • 博士課程(後期)学生
  • 大学・研究機関の研究支援人材
無料で受講できる上、旅費も支給されます。該当者はぜひご参加ください。学部・修士課程学生、Nanotech CUPAL に加わっていない組織の研究者と学生、民間企業の社員の受講(有料)も歓迎します。受講者には入門コースの修了証が渡されます。
RIETAN-FP v2.5 のお披露目セレモニー
12月15日(月)に名古屋工業大学(御器所地区)で開催される第7回結晶性萌芽材料 粉末回折研究会において

「外部プログラムとの連携を強化した RIETAN-FP」

というタイトルで、今年8回目の講演を行います。ふるってご参加ください。

昨年12月6日の同研究会では、RIETAN-FP v2.3に実装した gnuplot によるグラフ作成機能の全貌を紹介しました。リリース寸前の改訂版について二年連続で語り、年齢不相応な活力がみなぎっている様子を示せることを誇りに思います。

新バージョン v2.5 として結実させたアイデア、すなわち外部プログラム用入力ファイルの生成による能率向上は v2.3 の延長線上にあります。Gnuplot 用スクリプトファイル hoge.plt 相当のものをゼロから書き上げ、試行錯誤でテストし、正常に動作させるのには相当な経験と時間を要します。他方、RIETAN-FP が出力した hoge.plt の一部をユーザーがエディターで修正し、所望のグラフをプロットするのはいとも簡単です。GUI の必要性などまったく感じません。外部プログラムを使う際のユーザーの負担を劇的に軽減してくれるのは堪えられないでしょう。

v2.5では四つのアプリケーション、
  1. チャージフリッピング・プログラム superflip
  2. 最大エントロピー・パターソン(MEP)法プログラム ALBA
  3. 未知構造解析統合システム EXPO2014
  4. 最大エントロピー法(MEM)プログラム Dysnomia
の入力ファイルの雛形を RIETAN-FP が出力してくれるようになり、RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境の利便性が向上しました。RIETAN-FP の入力ファイル hoge.ins 中でのフラッグ設定、出力ファイル名、アプリケーションの対応は次の通りです。
  1. NCF = 1: superflip 用ファイル hoge.inflip(RIETAN-FP 終了後にエディターで自動オープン。中性子回折では superflip は使えない)
  2. MEP = 1: ALBA 用ファイル hoge.alb(一種の作業ファイルであり、表に出ない)
  3. NEXP = 1: EXPO2014用ファイル hoge.exp
  4. NMEM = 1: Dysnomia 用ファイル hoge.prf(RIETAN-FP 終了後にエディターで自動オープン)
hoge.inflip の末尾には回折指数 hkl、半値全幅、積分強度 |F|2 のリストが含まれています。今のところ hoge.alb は ALBA 用ですが、将来 Dysnomia に MEP 解析機能を追加した暁には、それに対応させる予定です。hoge.prf は Limited-memory BFGS (L-BFGS) アルゴリズムで MEM の厳密解を導出できるよう改良した Dysnomia の最新版 v0.8 互換となっています。hoge.prf がカレントフォルダーに存在する場合、RIETAN-FP はそれを上書きしないということに注意してください。

誰でも無料で使える Dysnomia v0.8 の出現により、情報エントロピー最大の解を導き出せない 0th-order single-pixel approximation (ZSPA) は時代遅れのガラパゴス方法論に成り果てました。ZSPA しか使えないようなプログラムの存在意義は、今や無きに等しいです。

上記4つの外部プログラムはいずれも無料で入手できるということを特筆大書したいです(EXPO2014はアカデミックユーザーのみ無償)。教育者のはしくれでもある私は、対価を求めずにネット上で公開されていることを科学技術ソフトウェアにおける基本的に重要な「機能」と見なしています。「富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」という不条理を座視するには忍びません。私は常に弱者や貧乏人の味方です。

hoge.inflip と hoge.exp は未知構造解析のエキスパートにアドバイスを要請して、最終的な仕様を決定しました。長く superflip と EXPO を使い込むことにより獲得したスキルを惜しげもなく注入していただいたため、それぞれ dual-space 法と逆・直接空間法による構造モデル構築に威力を発揮します。RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境上でコメント・プリフィクス(superflip: #, EXPO: >)を削除し、特定の行をコメント化してから、それぞれのプログラムを実行します。

RIETAN-FP 実行用スクリプト(Windows: RIETAN-FP.bat; OS X: rietan.command)の改造にあたっては、MPF (MEM-based Pattern Fitting) 解析や gnuplot によるグラフ作成用のスクリプト(Windows: Plot_Hidemaru.bat; OS X: graph.command)を製作した時に習得したシェル芸を披瀝しました。実際には MEP 解析は RIETAN-FP が出力した hoge.alb を通じて ALBA が実行するのですが、grep, sed, tail, cut, bc などの駆使により、あたかも RIETAN-FP が単独で実行するかの如く巧みに偽装しています。アクロバティックな離れ業といって過言でありません。これら4つのスクリプトは私の個人的趣味の発露であり、複数のコマンドを組み合わせて複雑なデータ処理を行う UNIX の流儀を具現化する喜びがほとばしっています。

NMEM = 1の場合、さらに MPF 用シェルスクリプト MPF_multi.command までカレントフォルダーに自動生成し、ユーザーの手間を減らします。RIETAN-FP が出力した hoge.prf を必要に応じて変更した後 MPF_multi.command のアイコンをダブルクリックするだけで、hoge.prf 中の指示に従った MPF 解析がスタートします。

私の知る限り、MEP 法で重畳反射の積分強度 |F|2 を改善できるパターンフィッティング・プログラムの出現は世界で初めてです。三つの異なる解析、すなわち Le Bail 解析、個別プロファイルフィッティング、MEP 解析を順次かつシームレスに実行するスクリプトで求めた |F|2 は、RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境上で hoge.inflip と hoge.exp を 修正後にショートカットを押すかボタンをクリックすれば、それぞれ superflip と EXPO2014 で解析できます。

|F|2を記録したファイルは2種類あります。MEP 抜きのパターン分解後に出力されるファイルは hoge.ffo、MEP 解析の結果を収めたファイルは hoge.mep です。hoge.exp 中では ref2 命令の後ろにどちらかのファイル名が記録されます。前述のように、hoge.inflip は hoge.ffo と hoge.mep の中身と同等の反射データを内包しています。

なお、v2.5では a, b, c 軸方向に沿った単位胞の分割数に入力を一箇所に絞りました。たとえば Fapatite.ins 中では
If NMODE = 1 then
    Go to *Graph
else if NMODE <> 6 then
    # Unless MEP analysis, Fourier synthesis, or MEM analysis is carried out,
    # set NVOXA, NVOXB, and NVOXC at 0; then, these three are regarded as dummy data.
    NVOXA = 128: Number of voxels along the a axis.
    NVOXB = 128: Number of voxels along the b axis.
    NVOXC =   94: Number of voxels along the c axis.
end if
となっています。最適な分割数は VESTA の Utilities メニューで Model Electron Densities を選び、適当な Resolution を入力すれば、テキストエリアの上方に表示されます。

上記の機能を実現する上で、RIETAN-FP v2.4開発以来好んで使用している内部サブルーチンが大いに役立ちました。新たなサブルーチンを書く際、引数や COMMON 領域を宣言せずにメインプログラムから変数や配列を引き渡せるためです。BASIC 感覚の手軽なプログラミングを楽しみました。また時代遅れな COMMON 領域の追加は控え、モジュールを利用するよう心がけました。

RIETAN-FP v2.4X では、格子定数を精密化している内に、各反射の積分強度を収めた配列 YPEAK と指数 hkl などの配列の対応関係が一部狂うことがまれにありました。重み付き残差二乗和がこれまでに到達した最小値よりも大きくなった場合に、反射の順序を 2θ の小さい順に記録した配列 IPOINT を回復させていなかったのが原因でした。v2.5では、そういう症状が消え失せたはずです。この盲点が白日の下にさらされたのは、孤独なプログラミングを甘受している自分にとって誠に幸運でした。

Windows 用配付ファイルに同梱しているグラフ作成用プログラムについては gnuplot を v4.6.6 に、Ghostscript を v9.15 に更新します。OS X のユーザーは、各自 gnuplot と MacTeX(オプション)の最新版をインストールしてください。Homebrew による gnuplot のインストール法については、「RIETAN-FP への gnuplot の導入」に記しました。

最後に特筆大書しておきたいのは、RIETAN-FP v2.5は RIETAN-FP・VENUS 統合支援環境から実行することを前提に開発したということです。秀丸エディタJedit X はいずれも安価ですし、種々のテキストファイルの編集に使えますので、ぜひ支援環境をお使いください。

国立大学の社会的使命を鑑み、学外者にも解放した無料講演会としますので、RIETAN-FP のユーザーはぜひご聴講ください。学外の参加者はポスター下の問合せ先にメールをお送りください。なお、参加者には RIETAN-FP v2.5 を含む Windows・OS X 用 RIETAN-FP・VENUS システム配布ファイルを一般公開に先がけて差し上げます。前回の研究会後に組み込んだ裏技 mcz についても、ほんの少しだけ言及します。遊び心の産物なので、ここではその正体を謎のままに留めておきます。

なお、研究会終了後に立食形式の懇談会(有料、学生割引あり)を開くことになりました。もちろん所属が名工大以外の方々も参加できます。
RIETAN-FP・VENUS システムの活用に関するセミナー
7月8日の午後に RIETAN-FP・VENUS システムによる結晶構造の精密化、すなわちリートベルト解析と MPF (MEM-based Pattern Fitting) についてファインセラミックスセンター(JFCC)で講演します:

第13回 ナノ構造研究所 材料計算セミナー

2014年7月8日 (火): JFCC(名古屋市熱田区)

泉 富士夫「RIETAN-FP によるリートベルト解析」&「RIETAN-FP・VENUS システムによる MPF 解析」


これまで材料計算セミナーは、主に第一原理計算をテーマとして開催されてきました。粉末回折データの解析技術が取り上げられるのは、今回が初めてでしょう。

私の所属が名工大だけでなく PANalytical となっていることからもわかるように、5月20・23日に東京と大阪で開催した PANalytical 粉末X線回折セミナーを肥大成長させた、盛り沢山の内容となっています。三大都市で相次いで同様の講演を行うことができ、光栄の至りです。交通の便が比較的良い場所であり、なおかつ無料ですので、中京圏および周辺の方々は奮ってご参加ください。定員に限りがありますので、参加登録はお早めにどうぞ。
「最大エントロピー法による TOF 中性子粉末回折データの解析」講習会
6月15日に試行的に開催した東京理科大学 総合研究機構 エコシステム研究部門主催のセミナーに引き続き、

「最大エントロピー法による TOF 中性子粉末回折データの解析」講習会
2013年9月20日(金)、東京工業大学大岡山キャンパス

を開くことが決まりました。日本中性子科学会誌の2月号のために執筆したサイエンス記事

  • 河村幸彦, 門馬綱一, 泉 富士夫, "粉末回折データの MEM 解析・三次元可視化用ソフトウェアの開発", 波紋, 23, 66-71 (2013).

で紹介した TOF 粉末中性子回折データの MEM 解析技術を100枚以上のスライドを使って伝授し、さらに VENUS システム(Alchemy, Dysnomia, VESTA)などを使った MEM 解析のデモンストレーションも行います。上記のサイエンス記事を一読していただき、ご自分の研究に役立つと判断されましたら、ぜひご参加ください。上記スライドに加え、一般には公開していないファイル・コンバーター Alchemy をお土産に差し上げます。

角度分散型X線・中性子回折データについては RIETAN-FP+MPF_multi+PRIMA/Dysnomia を用いた自動 MPF 解析が利用でき、すでに瞠目すべき実績を挙げていますが、パルス中性子には対応していませんでした。Alchemy を使えば、既成リートベルト解析ソフトの出力ファイルから Dysnomia により干渉性散乱長密度を決定し、さらに VESTA で散乱長密度の空間分布を三次元的に理解できます。

Alchemy が誕生してから7年の年月が流れました。その後、河村氏と私はロスアラモス国立研究所のパルス中性子源 LANSCE との国際共同研究を通じ TOF 中性子回折データの MEM 解析のテクニックに磨きを掛け、ノウハウを蓄積してきました。パルス中性子向けに MEM・可視化用ソフトの最良の選択肢が無償で提供されるのは、大歓迎を受けるに違いありません。

参加登録さえしていただけば、外部の方々でも自由に参加できます。本講習会の開催にご尽力いただいた東工大の八島正知先生に感謝いたします。

ついでに申し上げておくと、近年、私は大学、研究所、民間企業を問わず、要請があると「行くぜ!どこへでも行くぜ!」(某映画のセリフ)と答え、粉末X線・中性子回折に関する出前講義・講演に応じています。能う限り長く社会とつながっていたいという意欲が旺盛で、自分のもつ知識と経験の社会還元を目指しています。今年度は東京理科大学と三重大学に続き上記講習会で3回目となり、4回目もほぼ決まっています。よかったら、声を掛けてやってください。
「粉末X線解析の実際」講習会の参加登録終了
日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」は6月30日(日)をもって全コースの申込みを締め切りました。ご登録いただいたお客様に厚く御礼申し上げます。また、参加登録システムを構築・運営するとともに、当方の細かい注文や問い合わせにその都度ていねいに応じていただいた国際文献社のスタッフにも感謝します。

お陰様で、7月2日現在、参加者数が260名、A・B・Cコースの参加登録者が計581名という本講習会が17年前に始まって以来の大盛会となりました。これで興行師としての役割はすべて果たしたので、後事は事務局と東京理科大・中井研究室に託します。キャンセルや不参加の人たちが多少出たとしても、日本結晶学会主催の講習会史上最高の参加者数を記録するのは確実です。

Cコースの受講者が170名を上回ったのには驚かされました。なにしろ、MPF 解析や未知構造解析に関する講義を集めた上級者向けコースですから。

本講習会の強みは、なんといってもネット上で無償公開している RIETAN-FP, Dysnomia, VESTA などの使用を前提としているところにあります。無料ソフトの配付を通じた社会貢献活動の原動力となっている利他の精神が共感を呼び、強く支持されているのではないでしょうか。経済的負担なしに入手可能な科学技術ソフトは科学教育にバリバリ活用できます。外国製著名ソフトの単なるレビュー、高価な商用ソフトの販促、大型量子ビーム施設のプロモーションに堕していたなら、有料講習会にこれほど多くの人々を惹きつけるのは到底無理です。強力なソフトを無償で使わせてもらっている上、当該ソフトに関する知識やノウハウが効率よく入手できるのだから、受講料くらいは惜しくないという心情を抱くのは、ごく自然なことです。学生は格安の受講料で済むのも人気の一因となっています。

今回は時間があり余っていたので、プロモーターとしてゲーム感覚で宣伝活動を楽しみました。その実態は、ゲームセンターでハイスコアを叩き出そうと目の色を変えるプロゲーマーと同じようなものです(笑)。本年3月以後、同講習会の開催を知らしめるために投稿した7つのエントリーについては、5月31日のエントリーをお読みください。
「粉末X線解析の実際」講習会に関するエントリー
日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」(2013年7月8〜10日、東京)は異次元のスピードで参加登録数が伸びています。とりわけ人気が集中しているBコースは早くも5月14日に、Aコースは5月21日に公称定員(160名)に到達しました。Bコースは5月28日に参加者が200名にまで膨れあがったため、申込みを締め切りました。開催日まで40日余り残しての SOLD OUT は前代未聞の快挙です。

本講習会はもともとX線リートベルト解析の技術を世に広めるため、RIETAN の使用を前提としてスタートさせました(「粉末X線回折講習会の歴史」参照)。そのような経緯を顧みると、リートベルト法や RIETAN-FP を中心テーマとするBコースが一番人気の成長エンジンとして集客に貢献したのは喜ばしい限りで、プログラマー冥利に尽きる思いです。

もう一つ「してやったり!」と驚喜したのは、未だかつて公称定員に達したことが一度もないCコースの登録者が5月末日で164名に達したことです。5月中に公称定員を上回るとは想定だにしていませんでした。最終的には170人を越すと予想しています。

望外の盛会となったのは、本講習会のプロデューサー兼プロモーターとして嬉しい限りです。お客様に厚く御礼申し上げます。

同講習会への参加登録が劇的に加速したのはなぜでしょうか。3月5日以来、本講習会の宣伝も兼ねてフルパワーで書きまくったエントリー
  1. (ほぼ)毎度満員御礼 ♠♦♥♣ Must-attend workshop ♣♥♦♠ 17年目
  2. 粉末X線回折講習会の歴史
  3. Web 申込みシステムからの情報の活用
  4. 放射光・パルス中性子施設関連の無料講演・講習会に物申す
  5. 「粉末X線解析の実際」について
  6. MPF 解析における最大エントロピー法プログラム Dysnomia のパフォーマンス
  7. 粉末回折データを用いる未知構造解析のための代表的プログラム
がターボ・ブーストとして機能し、集客革命をもたらしたのかもしれません。「お知らせ+活動記録+たわごと」のアクセス数は3月から格段に増えましたから。

c〜eはもともと本講習会のサクセスストーリーbの一部でした。bが長くなり過ぎたたため一時は削除しかけましたが、結局、再利用することにしました。それでも依然としてbは冗長なままに留まっているのですから、始末に負えません。gは一見この講習会とは無関係のように見えるでしょうが、未知構造解析(Cコース)に用いる無償プログラムに関する最新情報を提供するために投稿しました。

いずれにせよ、本講習会の破格の人気は、粉末X線回折の基礎と応用を集中的に学びたいという実需が旺盛なことを雄弁に物語っています。断固バブルではありません。社会に貢献する教育活動として今後も継続していくことが強く望まれます。

ところで、今回は未曾有の椿事が勃発し、びっくり仰天、目を白黒させました。なんと●●●●が (中略)! しかし、この件に言及するのは自粛しておきます。
放射光・パルス中性子施設関連の無料講演・講習会に物申す
近年、放射光やパルス中性子源といった大型施設が無料の講演会や講習会をしきりに催している。私も J-PARC 関連の研究会に半強制的に駆り出された口だ。RIETAN-FP、VENUS、電子状態計算の話でお茶を濁したものの、瞠目すべき数の参加者を集めたので、さぞかしメーリングリストの充実に貢献したことだろう(2007年11月17日の掲示板「自分らしく生きる」参照)。しかし企画立案や準備に相当な時間を費やすため、J-PARC 普及に対するインセンティブが皆無の私としては、迷惑千万だった。先の短い研究者の時間を収奪するのもいい加減にしてほしい。

貴重な税金と電力を湯水の如く費消している以上、「一部の専門家以外も使っているし、産業利用にも立派に貢献しています」というポーズを監督官庁に示すとともに民間企業や非専門家も勧誘しないと、生き残れないのだろう。しかし、タダはタダだけのことがあるのは言うまでもない。だからこそ、有料の「粉末X線解析の実際」講習会が毎回満員御礼になるのだ。

大型施設の客引き用イベントなんて、銀行が投資信託、外貨預金、変額保険などの勧誘のために開く投資セミナーの如きものだ。お為ごかし以外の何物でもない。いくら参加が無料だといっても、人件費、旅費、時間を消費するのだから、本当に自分(の組織)にとって有益なのか、施設が助かるだけなのか否かを慎重に判断すべきだ。

手柄にもならない催しのためにわざわざ多数のスライドを新たに作成するとともに、貴重な情報を披瀝する奇特な講師は稀だろう。ほとんどは使い回しのネタを再利用し、手抜きするのに決まっている。論より証拠、自分自身がそうだった。w

詳細なテキストや専門書抜きで講演や講義だけ安直に取り揃えたところで、実戦に役立つ知識やノウハウがすんなり身に付くとは到底思えない。必要に応じていつでも参照できる日本語教科書が初心者には必要不可欠だ。とくに中性子ムラの住民以外にとって理解しにくいパルス中性子散乱については、明快かつ平易な教科書を赤字覚悟で出版することが急務だろう。

大型施設肝いりの企画がいただけないのは、自分たちにとって都合の悪い「不都合な真実」については口をつぐむことだ。施設関係者の講演・講義はポジショントークのオンパレードといって過言でない。有機化合物やタンパク質に顕著な水素の非干渉性散乱による S/N 比の大幅な悪化(中性子回折)、高温はもとより高 Q 領域でも急激に増大する熱散漫散乱(中性子・X線回折)、XAFS・PDF 解析が人や流儀によって 異なる結果を与える恣意的な解析技術であることなどをひた隠しにしてはいないか。熱散漫散乱はTOF中性子回折でとくに深刻な系統誤差を含む観測積分強度を与える。施設側に都合の良いバイアスのかかった歪んだ情報を提供されると、人手とお金を浪費しかねない。

それに、それらの施設は解析ソフトをローカルな存在に留め、ネット公開を避けている(「ムラ社会の掟」参照)。グローバル化を目指した英文ドキュメンテーションが貧弱なのは想像に難くない。日本語の簡易マニュアルしかないのが大半だろう。自信のなさ、けちくさい出し惜しみ、露骨な囲い込み戦略が透けて見えるのでは興ざめするだけだ。
Web 申込みシステムからの情報の活用
昨年暮れから日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」の企画立案・宣伝活動に従事している。その過程では、国際文献社が構築した Web 申込みシステムのバックヤードで取得したコース別登録者数などのデータを「粉末回折情報館」ブログツイッターを通じた宣伝・集客活動に直接フィードバックしている。これほどインターネットを徹底活用した学協会主催の行事は稀だろう。もはや学会誌、すなわち印刷物での PR などさほど頼りにならない時代なのだ。

今回の目標は、A・B・C コースがバランス良く定員に達することだ。前回、A・B コースに比べて客の集まりが悪かったCコースにテコ入れするべく、知恵を絞った。前回(2011年)の A・B コースのような定員の大幅超過は受講環境の劣化と会場の混雑を招くため、個人的願望としては避けたい。今となっては、あの広い記念講堂を満杯にしてみせるなどという過剰な闘争心は萎えてしまった。いくら参加者数を誇示したところで、主催学会に収益金を吸い上げられるだけで、何の益もない。

今回は、目標に近づいてきたら宣伝を手控え、受講環境が悪化せぬよう最終参加登録者数をほどほどの値に調節しようと目論んでいる。具体的には、前々回(2009年)のときの登録者数(A・Cコース:ほぼ定員、Bコース:177名)が理想に近い。大黒柱である B コースが定員を多少オーバーするのは致し方あるまい。しかし、実質的に何人集まったところで募集を打ち切るのかを決める権限は持ち合わせていないので、参加者数を所望通りに調整するのは、まず無理だ。

自分がこれまでのように本講習会の企画、宣伝、講義のためにフル回転できるのは、今回が最後のような気がする。ボケてしまったり健康を害したりする恐れが多分にある。世代交代と内容の全面的刷新の必要性を痛切に感じる。

なお、今回から私の所属は物質・材料研究機構(NIMS)から名古屋工業大学に変わった。本講習会は同大学客員教授としての活動に他ならない。といっても、NIMS と名工大は連携している上、NIMS から依頼された仕事を請け負っているため、相変わらず毎日 NIMS に通勤している。

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